その古城に勇者砲あり! 感想

チーム++って何ぞ?がまず一発目。
情報が公開されている限りでは、もう10年以上内藤氏が企画・シナリオを担当していた我らがソフトハウスキャラです。
何らかの体制変化があったのだとは推察されますが、これが開発体制の強化を目指したものなのか、内藤氏の隠居によるものなのか、願わくば前者であってほしいところです。

内藤氏の歩みとともに作りこみ続けた世界観も、本作では若干異なるものが使われれています。
分かりやすいところだと、魔力をマナなんて言ってみたり通貨単位がシルバーだったり、細かいところだと魔物と魔族の区別が曖昧になっていたりといった具合です。
ライターは複数名起用しているようなので、あえて違うように作ったのか、情報を共有し切れなかったのか、定かではありませんが。
複数ライターということで、シーンによるテキストの技量差は感じました。
技量差というよりは私の好みの問題でしょうか。
合わないところに差し掛かると急に進行が遅くなるという現象が発生していました。
これはあり程度仕方ないところだと思います。

一方で、システムは非常にキャラ臭さが感じられて安心しました。
インストール後の起動一発目は強制的にプロローグから始まり、やたらと遅いテキスト表示速度を最速にコンフィグ変更するところまでがキャラのスタンダードです。
これがないとキャラのソフトを始めるという気がしません。

本編も、『巣作りドラゴン』というか『門を守るお仕事』というか、あのあたりの雰囲気を醸し出しています。
タワーディフェンスっぽいけどタワーディフェンスじゃないあれです。
攻撃ダメージに応じて敵勢力の規模が変わるあたり、どちらかというと『巣作りドラゴン』寄りでしょうか。
ユニットが戦闘不能になっても消滅しないのは個人的に嬉しいです。
ただし仕様の関係で戦力はユニークユニット頼りになります。
汎用ユニットはレベル50で打ち止めなんですね。
悲しいです。

周回引継ぎあります。
所持金とユニット全てをまるっとそのまま引継ぎます。
全力引継ぎです。
ゲームオーバーになってもペナルティー無しの全力引継ぎなので、周回を重ねてのレベル上げ推奨なのかと勘違いしましたが、本作特に経過ターンの制限がありませんので、レベル上げについては序盤の拠点でフルパワー砲撃するより、戦力が拮抗した拠点でチマチマ弱砲撃連発した方が効率良いです。
1回ENDまで到達してしまえば、2週目はただ魔王軍を蹂躙するのみとなりますので、回収が面倒な方は分岐でセーブ&ロード推奨です。
私はしっかり蹂躙し尽くしました。
マップ入り口の部屋に高レベルのユニットを配置した時の、アリ一匹通さねえぜ!的な地獄の門番具合の頼もしさといったらもう。

エロシーンはいつもより頑張ろうとした印象です。
エロシーンとかどうでもいいから早く魔力補給して敵拠点叩きたいんだけど、なんていうジレンマがあるもので、私の側があまり真剣でなかったというのが正直なところです。
自らの肉欲に困惑しつつも流されてしまうミラさんは素敵でした。
そういえば毎度恒例の葵屋イベントがなかったような。

一人えらい大根が紛れ込んでますね。
コロナの声を当ててるこの「もな」なる人物は何者でしょうか。
どこの学芸会からスカウトしてきたのでしょうか。
びっくりするくらい浮いてます。
それはもう、枕営業を疑うレベルで。

この業界で今どんな声優に勢いがあるのかは、そのあたり気にしなくなって久しいですが、我らがソフトハウスキャラ、元々そんなメジャーどころで固めているわけではありません。
どうせ無名どころから選ぶんだったら、もっと他にいたんじゃないのかと。
新製作体制なだけにいろいろとあらぬ邪推をしてしまいます。

全体としては、平常運転時のソフトハウスキャラだと思います。
3日~1週間ほど猛烈にプレイして、後になってみるとその理由がイマイチわからないという、いつもの摩訶不思議現象です。
しかしながら、問題は次のタイトルです。
どういう製作陣でくるのでしょうか。
内藤氏はいずこへ?チーム++でもそれなりのモノができるのは分かりましたが、これまでのキャラも並行して続いて欲しく思います。
ソフトハウスキャラユーザー的には今後が気になる一本でした。

2016.02.01