真剣で私に恋しなさい!S 感想

無印』のほうに文句たらたらだったくせに、なぜか買ってしまいました続編です。

プレイしたいシナリオを選択するだけのほぼオムニバス状態のシステムは、ルート分岐みたいな形骸化したシステムにしがみつくのは如何なものか、的な開き直りを感じてむしろ好印象です。
物語としては『無印』の後日談や新規ルートという位置付けになるので、両者を両立させるために合理的な形だと思います。

もともと登場キャラクター数が異様に多い作品でしたが、その手を緩めることなくさらに増量してきました。
そして無印のサブヒロイン勢は見事にほぼリストラ状態エロシーン無しでございます。
まあ印象薄かったから仕方ないよね!

無印』と比較し、改善の跡が散見されます。
まずエロシーンでの主人公のウザさが軽減されました、若干ですが。
パロディの使い方も、『無印』ではパロディありきでテキストを起こしているかのような違和感がありましたが、Sでは頻度を落とした替わりに無理な挿入が激減しています。
戦闘シーンも過度なテキスト描写を抑えすっきりしました。
戦闘のようにスピード感が求められる描写をテキストでやるなんてのは、余程のスキルがない限り土台無理なのです。
無印』のジャンプ的バトル漫画の方向性を踏襲しつつ、ようやっとADVの演出に落とし込めた印象です。
不用意な政治ネタも自粛気味なようで何よりです。
あまりに浅すぎて、ギャグだからで許されないラインってありますから。

しかしなんででしょうか、作中の好きなヒロインランキングが乳のサイズにほぼ正比例してます。
ホントに信じられないくらい、私のツボを押さえたヒロインのメイキングは相変わらず抜群なんですタカヒロ氏は。
さらに今回みたいなアフターストーリーだと特に顕著ですが、イベントの作り方はやはり上手いです。
キャラ萌え系だと実用性に乏しいエロシーンがだらだら続く展開になりがちですが、氏の場合は非エロシーンのイベントが充実しています。
非エロのイベントでこれだけ尺を確保していただけると、使えないエロシーンをスキップしたら通常イベントほとんど残らないじゃないか、なんて悲しい事態を避けることができますので。

無印』は、ADVという媒体で無理矢理ドラゴンボールをやろうとして失敗した感じでしたが、そのあたり上手い事ADVという媒体に落とし込んできた印象です。
まあ、『』の発売に合わせて5年間積んでいたパッケージを掘り起こしてきたレベルなので、どれだけ『無印』の内容覚えてるのって議論はあるのですけれども。

売れる方法を狙って実行できる企画力はマガジン的ですが、やはりタカヒロ氏の本来のセンスっていうのはどちらかというとサンデー寄りだと思います個人的には。
少なくともジャンプではありません。

シリーズにおける軌道修正が実に見事な一本でした。

2017.03.28