真剣で私に恋しなさい!A 感想

ヒロインどんだけ増えるんだよ……。『』で明らかに不自然なヒロイン級キャラクターの投入があったのでうっすら予想はされていましたが、まさか更に追加があるとは。これはもう、同シリーズでどれだけのヒロインを投入できるかという挑戦にも思えてきます。
よくもまあこれだけあの手この手で展開できるものです。そこは素直にすごいと思います。単純に比較は出来ませんが、同じアホみたいな物量だった『恋姫†無双』なんかは、一本道の展開の中でイベントだけ分岐してハーレムを形成する形式でしたから、全てを個別ルートで実現したたみなとそふとはなかなかにすごい事やってると思います。

まあ何はともあれ弁慶ちゃんです。『』の時からずっと気になっておりました。正直なところ偉人女体化は今さらどうでも良いのです。タカヒロ氏は、義経・弁慶・与一はまだ女体化されたメジャーなのがいなかった、みたいな発言をしておりましたが、すでに偉人女体化というアイデア自体が二番煎じ三番煎じなのです。『戦国ランス』で謙信ちゃんを世に送り出したアリスソフトはそりゃもう偉大でした。革命が起きたと思いました。『行殺・新撰組』で新撰組を女体化したLiar-Softは頭がおかしいと思いました。早すぎました。時代を先取りしすぎです。ですから、偉人女体化が琴線に触れたわけではありません。そもそも本作の弁慶ちゃん、名前以外は武蔵坊要素皆無ですし。難点は川神水川神水やかましいあたりでしょうか。この辺の過剰なキャラ付けは本シリーズ通じた鬱陶しさです。S以降は多少軽減されていたのですが。もう普通に酒飲ませとけばいいじゃん。

ストーリーのバラ売り感は行き着くところまでとうとう来たかという印象です。これまでは選択肢によってエンディングが異なるのであればそれはゲーム足りうると考えていました。ゲームを極限まで俯瞰し、その状況に合わせてコマンドを選択する遊び、と考えることで無理矢理ゲームの枠に押し込んだのです。無印はもちろん、『』についても、ストーリー消化によるルートの開放などありましたので、ゲームだと思っていました。しかしながら今回、いよいよその範疇からも外れたかなあと。しかしその一方で、こういう売り方というのは今後の可能性として大いにありなんじゃないかとも思います。共通ルートは体験版で無償公開して、ヒロインごとの個別ルートはバラ売りにすることで、要らないルートにお金を出す必要がなくなります。製作側は売れ行きからマーケティングがしやすくなるだけでなく、場合によっては本作のようにヒロインの無限増殖させることで、背景等の基本グラフィックやBGM、世界観といった資産を高効率で運用することで低コストでの製作が可能となります。なによりも、ロリヒロインに金を落とすのが嫌。

過去にDL販売した5本にパッケージ版限定シナリオまで追加した事を思えば非常にリーズナブルだと思います。しかし、ランチャーからA1~A5の起動が独立しているのはいただけません。どうせ作るならひとつのメイン画面から全てのシナリオを選べるようにしていただきたかったです。間違ったやつを起動して目当てのヒロインがおらず、一旦終了してランチャーから起動しなおすのは非常に面倒です。同じエンジンを使っていながらどうして『フォセット』のメモリアルモードのような使い方が出来なかったのか不思議でなりません。あれのイベントモードには何百時間もお世話になりました。A1~A5までぶち抜いたイベントモードがあれば最高にご機嫌だったはずです。またイベントモードにしても、ここでは見られずロード画面で本編からしか再生できないイベントがあるのはどうかと思います。

無印が出た当時、まさかここまで息の長いコンテンツになるとは思いもよりませんでした。無印の頃は、キャラ付けがくどくて鬱陶しさを感じましたが、ここにきてようやく落ち着いてきた感じです。これだけの数のキャラを差別化し確立するにはそれだけの尺が必要だったということでしょう。
本作においては、おい英雄一筋のあずみはいかんだろ!なんて懸念もありましたが、非常に丁寧に消化しており、登場する女性キャラはとりあえずエロシーン用意しとけ、的な節操の無さとは一線を画する配慮は感じました。無印のヒロイン陣が霞んでしまいそうなほどに。今後このシリーズがどうなるかは知りませんが、これだけの大きなコンテンツになってしまった以上、タカヒロ氏のアダルトPCゲームはしばらく見られないかもしれません。他媒体作品の原作を手がけているというのももちろんですが、強いキャラクターコンテンツは長期間にわたって金を生み出すもので、わざわざしんどいゲーム製作に戻るなんて苦行をあえて選ぶ必要もないのでは、なんていうのはあくまで怠け者の見解ですけれども。

ようやっと、シリーズとして一段落した感があります。無印の時は思い出補正もあり軽く失望感がありましたが、なんやかんやで思い入れが強くなってしまった一本でした。

2017.04.02