ALPHA-NIGHTHAWK 感想

我らがLiar期待の新作です。
妙なところから人材を引っ張ってくる事に定評のあるLiar-softですが、今回はこの七星電灯氏、企画兼シナリオ兼原画ということで、一言でいうならば変態です。
それ全部やっちゃうんですね……。
わりとこの手の変態は、クオリティの高いものを作る一方で、非常に手が遅いケースがままあります。
某すかぢ氏とか、某聖少女氏とか。
それが七星氏、情報公開から1年経たずに発売と相成りました。
相成ったのですが、年が明けてから突如発売日が決まったかと思えば、価格がギリミドル帯。
しかも発売日は3月末。
これは非常に嫌な予感。

して、予感は見事に的中いたしまして、これ絶対12話あたりまでやる予定で最初は企画作ってましたよね!? っていう、なんか中途半端な終わり方。
いやね、過去に「第○話」みたいな区切り方したタイトルはたくさんありますけれど、全6話ってのは記憶にないです。
起承転結でも序破急でもなく、三幕構成でも区切れない、話数で切るとしたら6話ってすごく違和感ある数字です。

加えて、明らかに消化されていない諸々の設定たち。
バオバブに眠るレオンラムダは絶対話の根幹にくるだろうポイントですし、彼女とハナコさんとの関係にも、何か裏話がありそう。
タイトルの『ALPHA-NIGHTHAWK』に対して、一蔵が駆る機体「修羅」はβ機。
絶対誰かに負けて修羅が大破、どっかからα機たるなんか強そうな機体が出てくる流れじゃありませんか。
もしかしたらそこにレオンラムダが絡んでくるんですかね? 「俺は薔薇に責任がある!」との言葉、そのα機で薔薇を撃破する予定だったんじゃねえの!? レグルスがチリンを拾ってラスボスに育てるんじゃねえの!? とかもうね、いろいろ散見されてすごい消化不良。
6話のラストのあのタイミングでフロッピーがダッチワイフに乗り換えるところ一つとっても、やっぱり不可解なのです。
いや、絶対そのワンシーンに立ち絵素材準備とかありえねえでしょ……。
そもそもですよ、封鎖区域のコンスエロを一掃したくらいで一蔵が満足するわけねーじゃありませんか。
あとナユタは誰のために誰の情報を組み込んだメモリー個体だったのか。
絶対その話するときに、なんでバオバブから封鎖区域に逃げたのかも話があるはずで……。

とまあ、いろいろ妄想は尽きないわけですが、しかしこれはどこまでいっても勝手な邪推に過ぎないわけです。
もしかすると最初の企画どおりに完成してこの形だった可能性だって十分にあるわけです。
ご機嫌な制作ライフを爆走していた七星氏に、ある日突然ホビボックスあたりの偉い人が「これ、3月末にリリースだから」と、現金欲しさ、18年度の数字欲しさに死刑宣告したとは、必ずしも言いきれないのです。
未回収の伏線があろうと、話数が中途半端だろうと、リリースがそういう時期だろうと、どこまでいっても邪推の材料でしかありませぬ。
金出すやつが一番偉いんじゃ。

さて、陰謀論はこのくらいにして、七星電灯氏の世界観構築は私的にストライクです。
作り込みに熱量を感じつつも、その解説に終始しない。
そして全くのニューカマーにもかかわらず、「バオバブ」の船体からは『CANNONBOLL』的スペースオペラの香り(あえて『SHOGUN8』とは言わない)、『Forest』からスチパンシリーズへ脈々と受け継がれたグラフィック、そして適度な荒唐無稽さ。
Liarの遺伝子をしっかり盛り込んでいると感じられます。

あと大事なのが、自分の性的嗜好を盛り込んでるっぽいところ。
やっぱり人間、好きなもの作ってる時が輝きますから。
アダルトゲームなんて嗜んでいる時点で、社会的に十分以上にアウトサイダーなのです。
今更ケモナーくらいでとやかく言いません。
世の中にはしまじろうとかマイリトルポニーで勃起できる猛者がいるんですもの。
私は『チップとデールの大作戦』のガジェットでケモナーの洗礼を済ませておりますので、そのあたりは今更気になりませぬ。
心残りがあるとすれば、ネオフェネックに関しても絶対語られていないエピソードがありますので、その辺消化されてればと非常に残念。
レグルスはあいつ絶対変態ですから。
一蔵に子供を殺されたと恨んでおりましたが、もしリュネットがレグルスの子供のメモリー個体だとしたら、ケモナーで近親相姦という……、何とも業の深い。
リュネットのその辺の話ってありましたっけ?

繰り返しますが、七星電灯氏のセンスは素晴らしいのです。
大人の事情に振り回されたっぽいだけで、なんか面白げなものを作る力はあるように思います。
是非もう一度、今度はフルプライスの予算と十分な製作期間を与えて一本作っていただきたい。
少なくとも私は買います。
買うまでしか保証はしませんが。
……というか、Rita氏が主題歌歌って、野月まひる神がCVやる限りは買うんですけれども。

未完の大器感という意味では、久しぶりに実にLiar-softらしい一本でした。

■追記:どうしても言いたいこと3つ
・ミリヤのアクメショー観覧5万、電気羊100万って金銭感覚おかしいだろ。

・ミリヤは落ちこぼれのくせに軍服をラフに着こなしすぎだろ。
着こなしっていうか改造してるじゃねえかもはや。

・エロシーンのぱんぱん音が『どすこい!女雪相撲』のビンタ音だろこれ。

2019.04.09