ヤリステメスブター

パルワールドがポケモンのパクリだ何だと話題になっていましたが、そういえば私のDLsiteライブラリにも似たようなやつあったな……と掘り出してきました。
こっちも大概酷いですが、ここ2~30年で出てきたポケモンの二番煎じ的タイトルを考えると、言うほど悪くもないんじゃないかって思える不思議。
いっぱい出たもんね、モンスターを捕まえて育てて戦わせるゲーム。


建付けが天才のそれ

さて本作。
いろんな要素が絶妙すぎる塩梅に落とし込まれていて、ただポケモンをお下品にパロってきただけじゃない、この形じゃないといけない必然性がちゃんと存在してるのがえらい。

個人的にRPGツクールは嫌いなのですが、本作の場合はポケモンのパロディとしてむしろこの形式の方が入り込みやすいです。
ゲームボーイアドバンス感がすごいのよ。
ちょうどルビー/サファイアまではやった記憶があります。
海と川のヌキ釣り』でも同じような感覚ありましたが、元ネタのゲームやってた思い出がフラッシュバックしてきてくれるおかげで、むしろプラス要素に昇華してくれているというか。
思い出補正って勝手ですよね。

で、そのあたりとにゅう工房との折り合いの付け方がまた絶妙。
ポケモン部分はネタかと思ってたのに、めちゃめちゃ力入れてちゃんとゲームとして成り立ってるから全然遊べる。
全然遊べるにもかかわらず、いつもの謎認識改変やらチートモンスターやらを投入してあえてぶち壊す選択もユーザーに提示してくるあたり、もはや狂気の産物ですよ。
え、そんだけ作ったら遊ばせたくならないんですか…? みたいな。
しかもポケモンと見せかけて、ストーリーが進むとなんかFFシリーズみたいなノリになっていきますし。
ポケモン本家より重厚なストーリーぶっこんでくるインパクトがマジで強烈すぎてもう。
このあたりを全体的に眺めると、企画時点であまりにもよく練られすぎていることがよくわかります。


同人じゃないと作れない

まずタイトルが『ヤリステメスブター』の時点で商業は無理じゃないですか。
星の数ほど粗製乱造された『〇〇モンスター』とか『ポケット〇〇』とは一線を画するヤバさです。
でもこのタイトルじゃないとにゅう工房感でないんですよね。

そしてこの素材物量、作りこみ。
普通に商業じゃコスト的にもリスク的にも絶対無理じゃないですか。
開発者の手弁当だからこそできるやつです。
モンスター100体以上用意するのも、何十人もキャラ出して全員簡易的とはいえモーション付きのエロシーン用意するのも、まあ商業じゃ無理ですわ。
まあ、このモーションも結構簡易的なんで、これはこれで商業じゃ無理ですが。

極めつきはDLCで、さんざん注意書きを重ねているとはいえ、結構きつめの凌辱描写を強行したのすげえなと。
ここ特ににゅう工房濃度上がって私的には嬉しかったのですが、これもやっぱり商業じゃ無理です。
いちばん気合入ってて、ユーザーとある程度コンセンサスが取れてるランスシリーズでギリギリやってくれるくらいで、あれですらやっぱり文句言う声はあるみたいですもん。
普通に考えたら取る必要ないリスクなんですけど、「やりたいから」で全部ひっくり返るのが同人なんですね。


おわりに

なんかもうホント、奇跡的なバランスで成り立ってるんですよ。
「にゅう工房がなんかエロパロやってるわw」みたいなノリで触ると痛い目見ます。
具体的には、平日に二日連続で朝チュンかまして睡眠時間が死にます。
あの週はマジでずっと頭痛かった。

同人というジャンルだからこそできる、そしてその立場を存分に使って、ここしかないというところで絶妙に成り立っている感じが、とても良い。
これが、この場所にしか生息できない絶滅危惧種なのか、これから侵略的に生息域を広げていく新種の尖兵なのか、非常に興味深い一本でした。


2024.04.30