海と川のヌキ釣り ~淫豆半島の女神~

釣りゲーが好きなんです。
私史上最高の釣りゲーは『糸井重里のバス釣りNO.1決定版』なのですが、今回はおいておきます。

『ぬし釣り』というシリーズがあります。
こちらは私が初めて遊んだ釣りゲーのシリーズです。
当時としては美麗なグラフィックで描かれた釣りパートや、古き良き日本を感じさせる雰囲気のマップが印象的なRPGでした。
というより、異色のPRGでした。
そして私は、そんな『ぬし釣り』シリーズが大好きだったわけです。


原作シリーズよりもよほど原作らしい

さて本作、酔狂なことに2022年にもなって今さら同人でぬし釣りを作ってくださりました。
ホントもうありがとうございます。

実はぬし釣りシリーズ、末期にはGBAやDSでタイトルが出ているのですが、なんか違う感がすごいんです。
私がメインで遊んでいたのが据え置き機のシリーズで、こちらはいずれも携帯機になりますから、もちろんそこで技術的な制約はあったと思います。
でも、それを差し引いてもやはり何か違う…。
もっと言えば、Nintendo64で出た2本目あたりからそういう雰囲気がありました。

一方で本作、ぬし釣りらしい雰囲気作りがホント素晴らしい。
基本的にRPGツクールってあまり好きじゃないんですが、本作に関しては特例扱いさせてください。
RPGツクールというツールとぬし釣りが親和性高すぎます。
おいマーベラス、これでいいんだよこれで。


釣りパートについて

こちらについては原作と比べてかなり簡略されたなって感じでしたが、これはこれで非常に面白いです。
思ったより気が抜けなくてかつ、繰り返しやってもそこまでストレスではないというバランスが絶妙でした。
そりゃ欲を言えばファイト中の泳いでる魚を見たかったですが、それやると制作コストがバカ上がりしますからまあしゃあないです。

釣り具の区別が竿だけになったのも、思ってたほど気になりませんでした。
餌とか針とか仕掛けとか、あれはあれで楽しいんですけどね、変動する要素が増えると調整作業が指数関数的に増えてしまうので。
ただ、キャスティングはしたかったです。
RPGツクール製という制約上難しいのかもしれませんが、狙ったところに仕掛けを投げるのは一番釣りやってる感がでるところなので、ここはホントに残念でした。

一方で原作にはない「味見」のパート、これめちゃめちゃ頑張ってます。
各魚にどんだけ素材用意してるんですか。
背景なしのキャラカットのみとはいえ、すげえ物量です。
しかも妊娠差分とか…。
妊娠差分の乳首の色に、やっぱり同人でエロ出す人って性癖やべえなと思いました。


イベント関連は良好

シナリオは原作リスペクトなのか本筋がそこまでがっつりあるわけではありませんが、それプラス魚淫さんのリマインド機能もあり迷子にならずにすみました。
最近RPGやると、次何やるのか覚えてられないのが困りものなのです。
仮に詰まっても、ギリギリ総当たりでゴリ押しできるオブジェクト量なのが助かります。
マップ数がこれだけで本当に良かった。
逆に、タライをもらうイベントなんかはよくわからないまま突破してしまって、起承転結の承が抜け落ちた感覚でした。
あれ、なんでこのイベント解決できた?
これは私の記憶がやられてるパターン?

加えて各種のサブイベント、クリア後のヒロインイベントなど、振り返ると想像以上のボリュームがありました。
スタート時に見えてる部分を突破するのが結局最後の最後っていう構成、結構好きです。
YU-NOかよ(笑)

あと思い返せば、出てくる立ち絵ありのキャラだいたいみんな濃いめですね。
この点は現代版にアップデートしてる感じがあって良好です。
逆に、マップに配置されてるモブキャラの毒にも薬にもならないどうでもいい感じ、そうですこれです、ぬし釣りってこんなでした(笑)


おわりに

実に面白い出会いでした。
間違っても釣りゲーではありませんが、ぬし釣りっぽさは十二分に楽しめました。
それに釣った魚とことに及ぶというバカバカしすぎる話も、そういえばGBAで出てたシリーズが「魚に姿を変えられた村人たちを開放する」みたいなノリだったので、ある意味しっかり原作準拠なのかもしれません。
……いや、ないか。

とりあえずこれシリーズ第二弾らしいので、第一弾の方も確実に押さえておきたいところです。
原作シリーズより、原作ファンが作った同人の方が本物らしいという、愛を感じる一本でした。


2022.04.13