塔の下のエクセルキトゥス 感想

ウルスラグナ ~征戦のデュエリスト~』と同じシステムとの事で、特に細かいところは気にせず購入に至りました。
公式サイトオープンから発売までがやたらと早かったので若干不安がありましたが、致命的な欠陥も無く無事出来上がっておりました。

ウルスラグナ ~征戦のデュエリスト~』の時に、カードゲームだと思ってプレイすると肩透かしを食らうという旨の感想を挙げていたと記憶していますが、本作は思い切ってさらにカードゲーム要素を廃し、バトル方向に特化しました。
具体的には、スキルの大幅削減、汎用ユニットの陳腐化の2点に集約されます。
要するに強力なユニークユニットによるパワーゴリ押しです。
しかも、デッキに入れられる戦闘ユニットは7体までですから、進むにつれやたらと増えるユニークユニットが行き場をなくすこと請け合い。
ユニークユニットすら持て余すのに、汎用ユニットに入り込む余地などあるでしょうか。
ましてや、スキルもシンプルなものしかないので戦略の余地がありません。
私は追撃すら使わずラスボス倒せましたので、多分ユニークユニットはどの組み合わせでもレベルを上げればクリアできるのでしょう。
製作側もそのあたり自覚的だなと匂わせるのが、汎用ユニットの適当さ。
上位互換と色違いに満ち満ちており、露骨なユニット種類稼ぎが垣間見えます。

探索マップは改善があり、かなり操作がしやすくなりました。
扉ロックの仕掛けが追加され、探索している感が増しています。
ただし、先述の理由により落ちているアイテムに微塵の期待もないので、宝箱は全無視で全く問題なかったのが悲しいところ。

メインシナリオの合間に、ヒロイン毎の個別イベントが見られるようになっていますが、まあとにかく多いです。
主人公真面目系と見せかけてしっかり全員に手を出します。
こいつすごいです。
豆腐より脆いの貞操観念です。
それと、一本道のシナリオに全部ぶち込んだのですから仕方ないのでしょうけれども、本筋のほうで危機迫る一刻の猶予も許さない雰囲気醸し出しつつ、個別イベントのほうで一気に5人も開通しちゃうのはタイミング的にいかがなものかと。
ほのぼのしすぎなせいで本筋のシリアス感は霧散しますし、一気に大量放出なので一人当たりの印象は薄れます。
とばしてもラスボスクリア後に回収できるので問題無いっちゃ無いんですけど、イベント的には、さあラスボス挑むぜ、みたいな雰囲気あるやつもありますので、これどうしましょうか。
ついでに言うと、8割方のイベントが同じBGMで開始しますので、なんかもう刷り込まれる勢いで恐怖すら感じます。
変化大事です。

意外なくらいに乳のクオリティが高いです。
原画の2名は両名とも初めてですが、張りがありつつも柔らかさを感じさせる実に良い乳を描きます。
エロシーン時の表情も色気があり、良い出来でしょう。
グラフィック面で気になったのは、ヒロインたちの服装。
みんな冒険者なのにどれも実用性無視しすぎじゃありませんか?露出激しかったり、ふりふりが装飾過多で動けるのかこれ、だったりで、生き残るという至上命題に対して本気を疑います。
ファンタジーの世界にリアリティ要求する方が野暮なんでしょうけれど。

戦闘システムにカードゲームスタイルを導入するタイトルは過去にもありましたが、本作は結局十分には使いこなせなかったという印象です。
あくまで『ウルスラグナ』で使ったシステムありき、といったところでしょうか。
もう少しシステムを専用にカスタムする余裕があったらもしかすると化けたかもしれません。
しかしながら、遊ぶには十分整っていますし材料も良いものが集まっています。
『ウルスラグナ』と切り離して考えて遊べば十分及第点レベルの一本でした。

2015.11.04