ウルスラグナ ~征戦のデュエリスト~ 感想

90年代後半に子供時代を過ごした世代であれば、何かしらのTCGに触れて育ったはずです。
『ポケモンカード』『遊戯王』『MTG』等々。
私は比較的早期に集めていたカードが一瞬でゴミになる経験が出来たため、そこまでのめり込まずに済みましたが、それでもやっぱり集めたい、勝負して勝ちたいという欲求は捨てきれないもので、今回ついに手を出してしまったという状況です。
パッケージ一本買えば済むので、実物収集するよりは安上がりという判断もありました。

チュートリアルを終えた印象は、なんか思ってたんと違いました。
TCGというと、何らかの方向性、戦略を持ってデッキを組み、運を味方にしつつもいかに自分の思惑通りに戦況を進めるか、みたいなもんだと思っていたのですが、カードは育つわダメージの計算が不明瞭だわそもそもカード種類少ないわで、TCGらしさを期待するとちょっと厳しい内容です。
よくよく公式HPの説明見ると、ジャンルは「学園カードバトルRPG」となっておりますので、まあ嘘はついていないな、と納得しましょう。
戦闘システムがTCG風のRPGだと思えばいいのです。

そしてなんと本作、マップ探索まであります。
マジでRPGじゃないですか。
しかしながら、こっちはもうちょっと頑張ってほしかった。
マウスカーソルで目標地点を指定して移動させるタイプですから、ゲームパッドとの相性はイマイチそうですし、よしんばマップ移動が快適になったとして戦闘パートはどうするのか。
その辺考えるとマウスで操作せざるを得ず、結果イマイチな操作性というわけです。
加えて、シンボルエンカウントですから、戦闘を始めたいのに始められずイライラする事請け合い。
視点移動するも焼け石に水。
マップの作りも、マップの名前が変わっていくだけで素材のバリエーションに乏しいので、別に3Dマップに拘らなければもう少し何とかなったのではないかと思います。
カード収集とレベルアップにマップ探索は必須なだけに、ホント何とかしてください。

先述の、TCGとしてみるとガッカリ、に関連しますが、難易度が極端です。
真面目にレベルを上げておけば、余程の事がない限り敵の戦術をパワーで押し切ることが出来ます。
無慈悲なゴリ押しです。
このパターンでなんとラスボスまで到達出来てしまいます。
そしてラスボスは鬼畜です。
明確に戦い方を考えないと、レベルを最大まで上げていても勝てません。
戦術があっても運が必要です。
そしてその唯一の例外が、本作における最大のチート性能を誇る「ゴブリン将軍」です。
こいつを6枚デッキに揃えると、後は敵を順番に殴るだけで勝負が決まります。
ラスボスとて同様です。
バランスの重要さを痛感できる好例です。

ストーリーは良い具合にTCGタイアップアニメのお約束を踏襲しているように感じました。
最終的には世界の危機を回避したみたいですし、やたらと熱い精神論的なところがあったり、たかがカードで世界的な大企業が出張ってきたりと、抑えるところは抑えています。
ほぼ『遊戯王』ベースですけれども。
主人公のキャラクターも小中学生に受けそうな感じです。
最終的にいろいろ投げっぱなしにして、これで続編が出なけりゃ信用問題だろうって終わり方しましたけれど、この辺も次シリーズへの引きとして捉えれば案外それらしいのかもしれません。

多分続編出ると思うのですが、いろいろとどうするのか見ものです。
改善点は多くありますが、やっぱり基本システムは流用したいでしょうし。
ただし、やっぱりカードを取り扱う以上、パックをあける楽しみっていうのは盛り込んでほしいところです。
なんとしてもこれだけは追加してください。
ならば買います。
こういう注文が確実に出てきてしまうので、続編前提の製作って難しいなと感じた一本でした。