漆黒のシャルノス~What a beautiful tomorrow~ 感想

今年に入ってからダラダラやっている我らがLiar-softのスチパンシリーズ第3弾でございます。
『インガノック』から結構間が開いてしまいましたが、特に何があったわけではなく、単純に他のゲーム遊んでただけです。
せっかく楽しむためのエンタメなのですから、義務感でプレイするものでもありますまい。
やりたい時にやりたいだけやる、それが自由ってもんです。

さて本作。
舞台がロンドンということで、蒸気機関による産業革命の震源地たる大英帝国ロンドンですから、スチパン世界とセットにするならこれ以上ないくらい親和性は高いはず。
なのですが、限りなく我々の世界に近づいてきたが故に明確になる「ここはスチパン世界」だという実感。
コナン・ドイルとシャーロック・ホームズが共存してる、すげえ! ってのは序の口で、ああやっぱり機関と蒸気機関は別物なんだっていう確認だったり、西享ってロンドンから見ても西享ってことはさらに西? でもアメリカはアメリカで新大陸どうこう言ってるし、じゃあどこなん? とか、固有名詞に対する理解が深まっていく以上の勢いで分からないことが増えていく始末でございます。
このあたりが「え、何これ?」みたいに気になりだすとあとは泥沼、なるほどこうやってハマっていくのか、みたいな気づきがありました。
あとは、スチパンシリーズのフォーマット的なところも見えてきた気がします。
前作から引き続きで様式美的な部分は一層強化されて、これだけ繰り返されたら不思議とクセになります。
展開の面でも、導入があって、その世界に暮らす人々との交流が間に挟まって、最終章の締めがくるという、これが恐らく基本的な構成っぽいです。
本作の場合は「停滞し続ける安寧な今日か、リスクを伴う未知なる明日か」という問いが締めのところにあたります。
旧劇エヴァ以降、お約束といえばお約束っぽくなってしまった問でもあります。
Liar&Railだと、案外前者を選ぶケースがちょいちょいあるのが興味深いところです。

そしてこのシリーズ、メイン部分っていうのはこの間に出てくる人物たちとの交流の方なのかな、みたいな感触があります。
「雰囲気を楽しむ」ための可食部というか、そんな感じの。
ただ、『セレナリア』『インガノック』と異なるのが、元来的なシャルノスの住人というのは「彼」以外存在しないということ。
だからその世界の住人との交流からその世界観に浸る構図が取れず、かといって20世紀初頭のロンドンの暮らしぶりなんて提示してみたところであんま面白みもないので、それぞれがシャルノスに抱く渇望を見せつけてくださったわけですね。
このあたりは過去2作と若干異なる切り口です。
ラストにシャルノスがどういうものか分かったところで、なんとなく彼らの願いの形も腹落ちがしましたが、さすがにフリが長すぎます。
シャーリィを目覚めさせるっていう明確な目的が提示されているにもかかわらず、過程が全くの不明瞭なのも少々辛いです。
ここに限らずですが、情報が小出し過ぎて話が進んでる手ごたえがなさすぎるきらいがあります。
何をやらされているのか分からない、どう進んでいるのか分からない、そもそも何が起こっているのか分からないというのはさすがに……。
ある意味で、シャルノスの中を逃げ惑うメアリと同じ状態ですが、これで感情移入を狙っていたなら失敗ですダレるだけです。

毎度お約束のゲームパートはスキップさせていただきました。
せめて『インガノック』くらい世界観の理解が進んだり話の根幹に迫る(説明するとは言ってない)くらい、やらなきゃいけない必然性があればやったかもしれませんが、そういうわけでもなさそうですし、何より遊びとしてあんま面白くないです。
作業と割り切るにしてもあまりに作業すぎました。
ご褒美でラフ画のCGがもらえたらしいですが、この作業に打ち勝ってまで欲しいかと言われれば微妙……。
あるいは、ご褒美のCGはエロCGだったりするんですかね?
本編の方は、いよいよここまで来たかってくらいエロシーンありませんでした。
シャーリィが眠りにつくあたりまで、これはもしやメアリとシャーリィの百合シーンとかあるのか!? 大丈夫か私が知ってる百合なんて『超熱帯夜orgy』とかその辺だぞ!? みたいな見当違いすぎる狼狽をしていましたが、全くの杞憂でして、それはそれでいいのか? みたいな。

主題歌が今のところシリーズで一番好きです。
バグパイプっぽさ(アコーディオンらしいけど)を感じさせるイントロが作品舞台であるイギリスを連想させ、大胆な転調からの疾走感溢れるサビはシャルノスを駆け回るメアリそのもので、歌詞にもそれが見て取れます。
やはりRita神、外しません。
あと今回もBGMがrail-softで聞いたことある感じなのが混ざってまして、多分時系列的にはrailの方が流用したんでしょうね。
こうやって紐解いていくと、railがどんだけニッチ向けにギリギリで制作していたのか察せられて涙が出そうです。

大機関BOXとか出てたので仮にこの三作をひとまず一括りに考えますが、そうすると順番的に『インガノック』『シャルノス』『セレナリア』とかの方がよかったんじゃないですかね?
青空の価値が3倍増しくらいになりそうで、『セレナリア』で世界の水殻を抜けた時の感動ヤバそうです。
エリーの「良き青空を」も、順番前後してもそれはそれで味わい深くなりそう。
何はともあれ、ようやくスチパン入門編も終わり、liar-softをいっそうしゃぶり尽くせている感が出てきた一本でした。

追記

次はついに『白光のヴァルーシア』でして、これが終わるとなんと『ハチポチ』に収録されているタイトルがようやく全部終わるという、長い長い旅路が一段落なのです。
複数タイトル合同ファンディスクで10タイトルぶち込むとかマジでイカれてますよね。
多分、史上最強にユーザーに求めるハードルが高かったファンディスクかと思われます。
ファンディスクとは、いったい……?

2020.08.01