巨乳ファンタジー 感想

『巨乳ファンタジー』+『巨乳ファンタジー外伝』Wパック発売ということで、両者の感想なんてものも上げてみたいなあと思ったのでやってしまいます。
その前編という形で、まずは巨乳ファンタジーの方行ってみたいと思います。

どこのどの作品とは言いませんが、やたらめったら長ったらしいタイトルというのが目立つ今日この頃です。
そのくせちっとも印象に残らないのは悲しいばかりです。
その点本作、なんと直球、なんと簡潔。
もはやタイトルじゃなくてジャンルじゃねえかと突っ込みたくなりますが、冷静になるとジャンルでもないなあと。
全く捻っていないからこそ、他作品と一線を画する存在感を放っています。
他がやっていなかったことをやるというのは、生産活動における基本ですし、おそらく後追い作品が似たようなネーミングをしてももうパッとしないでしょう。

本作最大のポイントは、異常なまでのテンポの良さです。
ご都合主義この上ない展開のくせに、なぜか次へ次へと引き込まれてしまう物語に、時間を忘れてプレイしてしまうのが悔しいくらいでした。
いや、ご都合主義であることに対して開き直っているからこそなのでしょうか。
ご都合主義全開なのに、それがさも劇的で奇跡的な物語であるかのように描かれると、過度な制作者のナルシシズムに受け手としては嫌気がさしてしまうことが多々あります。
確かに創作活動を行うにあたり、ある程度の自己陶酔というのは必要でしょう。
でなければ、特に物語なんていうものは作れません。
しかし、制作者のオナニーに毎度毎度付き合っていられるかというと、当然否です。
自分が楽しみたいだけなら一人でオナニー日記でもつけていればいいのですから。
実力の伴わないナルシシズムも同様です。
その点で、本作は展開そのものの陳腐さに恐らく自覚的です。
そんな都合のいい展開あるわけないじゃんとわかって作ってる気配があります。
本作の本来の目的は、ファンタジー世界でヒロインたちの巨乳を楽しむことにあり、決して感動的な物語ではありません。
ヒロインとヒロインを、場面と場面を繋げるために物語があり、メインではないからこそ長ったらしく描く必要も無いのです。
その「繋ぎ」の部分に主人公のサクセスストーリーを持ってきたこと、それぞれの場面を「○○編」と区別しそれぞれにしっかり起承転結を持たせたこと、そしてそれらがユーザーの期待するメインの部分ではなかったこと、このあたりの要素が合わさり化学反応を起こした結果として、ある意味で偶発的に生まれてしまったのがこの不思議と引き込まれる物語だったのではないでしょうか。
もちろん、偶発的といってもさすがに全く狙っていないわけではなかったというわけでもないと思いますけどね。
ただ正直なところ、ライターの鏡氏の他作品に、私は本作ほどの面白みを感じなかったので。

CGに関してはどれも素敵です。
おっぱいばっかりですから。
画面中のおっぱいの比率がいまだかつてないレベルに到達しています。
私がプレイしたのは単品版ですが、Wパッケージ版ではウィンドウサイズが大きくなっているらしいので、さらにおっぱいのインパクト大です。
今から購入予定の方は是非ともWパッケージ版をオススメします。
ただし、キャラクター紹介の最後にあるそれぞれのヒロインのおっぱいの解説通りのおっぱいではないというか、そもそもそこまで分かるほど描き分けられていません。
ちょっとあれは煽りすぎですね。
まあみんな巨乳なんで私は満足ですが。

実際バカゲーの類だと思います。
島耕作をギャグタッチのファンタジーにした感じです。
先ほどは物語はあくまでおまけ、みたいな言い方をしましたが、だからといって適当に作っているというわけではありません。
量的に多くはないテキストの中で世界観や設定を上手く消化していますし、できるならエロシーンやCGに費やしたいであろうリソースを割いてまで、オッサンたちを非常にカッコよく描いています。
しかもフルボイスで。

回想でエロシーン見るとビックリするんです。
あれ、こんなに少なかったけ、と。
いつもおっぱいしゃぶってた印象が強いのですが。
そこにも、いかに内容を凝縮して詰め込んでいるかが現れています。
総プレイ時間はコンパクトに、それでいて満腹に。
これが本当の作品ボリュームのあり方です。
ひたすら希釈しただけの内容を「大ボリューム」とは言わないのです。

バカゲーを作るには大変な労力が必要です。
何しろ今までなかったものを作らなくてはなりませんから。
そのあたりに、引き込まれずにはいられないエネルギーの源泉を感じた一本でした。