星空のバビロン -迫り来るコズミックすけべおねぇさんズ- 感想

お約束の半額セール衝動買いです。でもこのパターンで3500円も出すのは個人的に珍しい。3500円あれば三日分の食費になりますもの。良ゲーにもクソゲーにも振り切れない、中途半端などうしようもないゲーム買うくらいなら、30円くらいのジャンク銘柄株買った方がまだ楽しい。

さて本作、溢れるB級臭と勢いですべて誤魔化そうとするノリが、案外嫌いじゃありません。
全方位、どこを見ても「っぽさ」で埋め尽くされています。設定は基本全部ハリボテ。リスペクトなきオマージュであり、諧謔なきパロディであり、オリジナルなきインスパイアです。そこに作り手のこだわりは欠片も介在していません。本来であればただただ残念に感じるところですが、潔く説明を放棄したのが功を奏しました。特にSFっぽい科学技術系の固有名詞については中途半端な説明がないからこそ、勝手にこちらが想像で補完して勝手に納得するという、作り手とユーザーの不思議な共犯関係が生まれていたように思います。難解な作品がよく似たような揶揄されますが、それを地でいってしまった感じです。冷静に思い返しても、多分これ作ってる方もどういう事なのか考えてないよなあと感じられて笑います。
SFっぽい世界観的には大チョンボですが、そもそもそんな風に思って本作を手に取る方が間違っています。なんですか「迫り来るコズミックすけべおねぇさんズ」って。妙に語感が良いのが腹立たしい。これで硬派なSF作品期待するやつがいたらそいつの方が間違ってます。正直、このサブタイトルだけで買ったと言っても過言ではありません。

突然ですが、宇宙というのは実に極端です。平気で-200℃とか、何万℃とか、何もない空間が何光年も続いたかと思ったら太陽の1000倍以上のサイズの星があったり、そもそも光年って単位が理解不能な規模ですし。それがしっかりヒロイン陣のバストサイズにも反映されています。ゼロか爆乳か。おっぱいは大宇宙の神秘なのです。さらに、バカゲーにしとくのは惜しいくらいグラフィック気合入ってて、そのギャップがズルい。グラフィックだけは正統派スペースオペラ感醸し出してます。ホント、雰囲気だけは。

シナリオに関しては『デデンデン!』から格段の進歩を見せました。ちゃんと話がつながってる! ある程度キャラが掘り下げられてる! すごい! ……半分は皮肉。
越えるべきハードルが地に埋まっているので、あんまり意味のない比較です。ただ、先述したように、諸々の設定ぶん投げがありますので、その辺の自己補完をしながらだと、脳に入ってくる情報量が絶妙なのです。奇跡的に噛み合ってます。多分狙っての事じゃないでしょうから、本当に奇跡なんだと思います。機嫌が良くて多少テンション高めのタイミングでプレイしたら、あれ、これ結構面白いんじゃない? と勘違いしかねない水準です。
ただし方法論的には、その場しのぎのライブ感と後出しで盛り上げていく切羽詰ってる時の週刊少年ジャンプ方式なので、いろいろ気になりだしたら潔くその日はセーブしてプレイを終了することを推奨します。大丈夫、一晩寝れば違和感も薄れるから。

シナリオはそんな感じでしたが、一方でゲームパートは一気に退化しました。戦略もクソもありません。9割方運ゲーです。序盤は1×1マスの小型機がヒットしなくて辛いですし、終盤は終盤でマス数多すぎて辛いです。せめてマインスイーパーみたいに隣接敵ユニットの数とか入れれば、まだ考える余地もあったのでしょうが。残念ながら2D横スクロールのレトロ感が良い味出していた『デデンデン!』の面影はありません。というか、せっかくゲームパートなのに画面が地味すぎてもう……。
加えて、負けイベントが複数存在するという苦行。負けるのはさして難しくありません。ただ面倒くさいだけで。恥ずかしながら、イベントコンプは放棄しました。ゲームパートの勝敗分岐に気づいたのが結構な終盤で、しかももう1周して回収したいほどの欲求も湧かず……という具合で。

以上ふまえ、非常に不思議な作品です。微妙な要素が絶妙に噛み合って、よくわからない面白さを生み出しているというか。ポテンシャル的には、どうしようもないクソゲーになってもおかしくなかったと思います。そのままクソにならなかったのは、その前のめりさ故でしょうか。スケールの大きな作品を作ろうとした志の残滓が感じられます。最初の目標が低いとそれ以上の結果は残せないとか、バットを振り切ったからドン詰まりなのにショートの頭を越えたとか、そういう理屈です。
あるいは逆転の発想で、サブタイトルが示すとおりゲームとしての主体は異星人とのエロシーンにあって、異星人関連の要素を膨らませていったらなんかこんな事になっちゃいました、みたいなパターンかもしれません。ああ、これは個人的にわりと納得できます。設定やらゲームパートやら、諸々の疑問点が解決できてしまう。純度100%の邪推ですけれども。
惜しむらくは、One-UPがもう活動していないのと、母体のテックアーツが死んでるっぽい事。この次が出ていれば、本作が奇跡の産物なのか、狙ってやっているのか判断できたものを。(十中八九前者でしょうが)
本人たちは真面目なのにお下劣でバカバカしい、シュールな構図と絵面が堪らない一本でした。

2019.05.21