巣作りカリンちゃん 感想

チームが違うとはいえ、前作『悪魔聖女』で盛大にやらかした我らがソフトハウスキャラです。
どの面下げて次持ってくるのかと思ったらまさかのコラボでございました。
それもソシャゲアプリなんかの「ちょっとイベントでIP貸しまっせ!」なんてレベルでなく、『恋姫†無双』のキャラクターをガッツリメインに据えてでの一本ですから、これはどんな座組でやったのか気になるところ。
パブリッシャー:ネクストン、ディベロッパー:ソフトハウスキャラ、みたいなイメージですが、キャラ側も自社システム持ち出してるわけで、果たしてどういう契約なのやら。
少なくとも、お問い合わせページの問い合わせ先が二系統に分かれてるパターン初めて見ました。
まさか『悪魔聖女』がずっこけて資金繰りが……、なんて話はないと思いますが(ずっこけたらヤバいレベルで金と労力かけてる気配はないので)、ここ数本続けて低迷していたのは確かですし。

さて本作。
キャラが関わって「巣作り」なんてワードが付いてくると、ユーザー的には当然『巣作りドラゴン』を連想するわけです。
実際、通常版+5,000円で『巣作りドラゴン』のDLコード付きパッケージもあったとかなかったらしいですが、これわりとお得ですね。
ソフトハウスキャラは10年以上前のタイトルのDL版だろうと頑なに大幅値引きはしてくれません。
そういえば、私が定価で買った数少ないDL版旧作のうちの一本が『巣作りドラゴン』でした。
……話を戻します。
名に「巣作り」とある以上、かなり寄せてくるんだろうなとは思いましたが、システムはこれ『その古城に勇者砲あり!』ですね。
とはいえさすがにまるっとそのまま流用ではなく、配置ユニット数に縛りがあったり、迷宮の評価があったり、勇者砲フェイズがなかったり。
迷宮レベルに応じた動的なターン制限はこれ面白いです。
流用と見せかけて、細かいところ気にしていくとちょうど『巣作りドラゴン』と『その古城に勇者砲あり!』のいいとこどりをして、ほんのり『門を守るお仕事』のフレーバーを効かせたみたいな、これは上手くブラッシュアップされていると思います。

そういえば、チーム++で内藤氏がシナリオ担当するのは初めてでしょうか?
世界観が内藤ワールドで進行します。
やはり氏の短いイベントを積み上げていくスタイルは、この手のシステムと親和性が高いです。
ゲームの進行とキャライベントの進行を独立させたのも非常にとっつき易くてありがたい。
適度にイベント進行フラグも散りばめて、これを探っていくのもなかなか楽しいです。
通貨単位の「B」も、ああ内藤ワールドだと、言いようのない安心感があります。
ただ、画面表示「B」ですけど、これ「万B」とかの間違いでは?
あるいは内藤ワールド時系列的にかなり古い世界の設定なのかも?
BUNNY BLACK』のイベントでラキアさんが「100Bも昔は誰も払えないくらいの価値だった」的な発言がありましたから、それでOKなのかもしれませんが。
まあそもそも、『BUNNY BLACK』がどのへんの時代なのかもわかっていませんが……。

今回の目玉である『恋姫†無双』のヒロインたち。
はるか昔に無印だけやりましたが、恥ずかしながら全く覚えておりません。
その後もコンテンツが続いているので、お姿だけはちょいちょい拝見しておりましたが、どんなキャラクターなのかはさっぱりでして。
本作のキモ、というかネックは、恋姫ファンにどれだけ文句言わせないかだと思っていますけど、そのへんどうなんでしょう?
さすがにネクストンも監修しているはずなので、致命的な事故は起こしてないと信じたいです。
逆に私はそのへん一切抵抗なく遊べて大変お得だったとも言えます。
カリン様に対する認識で将来恋姫ファンと事故りそうで怖いぜ。
しかしながら、ここだけはどうにもならなかったんだろうなっていうのがカズトのキャラで、とりあえずチンコ突っ込んで黙らせるという伝統芸を使わない以外はほぼ完全にいつもの内藤式主人公です。
恋姫の方でもこんな感じなんです?
まあ、ここで別主人公あてがったら確実に炎上案件でしょうから、こうならざるを得ないのでしょうけれども。

本作、周回プレイが前提の作りですが、先述の制限ターン追加で奥行き出してるのが面白いです。
ただやはり、資金以外のユニットやアイテム全引継ぎ仕様が大味でして。
確かに全引継ぎでも全然楽しく遊べますが、周回の作業感が非常に増してます。
もちろん、その作業感を楽しむゲームといえばそれも間違いではありません。
しかし、作業のゴールというか、目標とか計画があると作業にメリハリが出ると思うのです。
例えば、この周回は羅針盤開放に終始しようとか、このユニットだけとにかく育てようとか。
そのあたりの調整があれば、のめり込み度1.5倍はいけたように感じます。
というかですね、カリン様復活がわりとあっさりでして。
復活後にカリン様があちこち侵攻していくイベント欲しかったです。
王都できな臭い動きをしている大物貴族いたじゃないですか。
彼絡みで何かあってもよかったでしょうし、王都とは別に重要な軍事拠点の砦があるとか、もっといえばマップ中央部に鎮座する門らしき建造物。
これ絶対魔界や天界にケンカ売りに遠征するための設備じゃないですか!
イベントCGとか薄めで構わないので、サブヒロイン二人分のリソース使ってもいいので、復活後イベントもっと欲しかったなあ……。

なんやかんやで三日くらい遊べたので、ソフトハウスキャラ水準で見れば良作以上のクオリティだと思います。
ゲーム自体もそうですが、何よりこういう大胆なコラボが面白いです。
ToHeart2』の『ダンジョントラベラーズ』みたいに、ADVタイトルのキャラクターだけ連れてきて別ゲー作るって試みは過去にもありましたが、メーカー跨いでってのはついぞ私の記憶にはなく。
そういえば本作と同時期に戯画とインレでFDというか外伝というか、そういうのもやってましたし、いよいよこの業界もそういうIPの使い方するようになるのでしょうか。
これが「巣作りシリーズ」とか言って、CSタイトルでいうところの「〇〇無双」みたいになったら、なかなか夢の広がる話です。
そういう実験的な内容を、上手いことまとめてくれた一本でした。

2020.01.05