ガールズフランティッククラン

お亡くなりになったと思ってこんな記事まで書いてしまったのに、復活してきてしまったソフトハウスキャラの残党です。
そういうしぶとさ、嫌いじゃない。
結局は生き残った者勝ちですから。

これで内藤氏までセットだったら最高にご機嫌でしたが、氏は今『異世界のんびり農家』でウハウハなんじゃないですかね?
アニメ化までしてじゃんじゃん重版、なんか儲かってそうでいいですな。
その金でのんびり農家をゲームにしてくれてもいいんだぜ…? っていう話をしたいところですが、それはまた別の機会にしましょう。


戯画の悪いところマネしないで!

さて本作。
チーム++はしぶとさ見せてくれたのに、なんで泥舟に乗り込んでしまったのでしょうか?
戯画も戯画で、ゲームらしいタイトルが作れるバルドチームに次ぐラインになったかもしれないものを。
でもまあさすがに、戯画が撤退は読めないか……。
加えて八重樫南氏起用とかいう本気度ですから、建て付け的にもむしろ「超期待されてるやんけ…!」くらいの勢いです、私ならそう思います。
それがまさかね…。
なんかこう、不幸がにじみ出てる。

ゲーム自体は思ってたより良くも悪くも普通でした。
面倒くさくなったらレベルでゴリ押しちまおう、でなんとかなるあたり、チーム++って感じです。
基本的に考えて攻略する必要ないんですよね。
適度なタイミングで回復だけがんばりましょう、くらいしか特にやることがありません。
ただ、なぜかそういうパワープレイを快適にさせてくれないポイントがちょいちょいありまして、クエストを周回する時に前後のシナリオパート毎回テキストスキップで待つのがダルいとか、毎回キャラ配置変更するの面倒くさいとか(初期位置登録させろ)、そんな複雑なシステムに見えないくせに戦闘が重いとか、攻撃モーションカットほしいよなあとか、素材集めとかで周回させる要素あるんだからもうちょっとなんとかしてくれよと。
そういう気が利かないところだけ戯画流踏襲しなくていいんで、ホント。


ダイジェスト感なのにわかりにくい

なんかこう、絶妙に全体像を掴みにくいです。
よくわからない謎を謎のまま扱うのはかまいません。
それが引きになって興味湧くんで。
ただ本作の場合、謎というより単純にはっきりせずわかりにくい印象です。
設定開示の軸がズレてるというか、芯を捉えていないというか。
基本的にはなろう系あるあるなゲーム世界転移とMMOモノな世界観なので、その部分だけは「あーこういうのね」みたいなわかりやすさがありますが、独自部分は要所要所でギャグで言ってるのか本気で言ってるのかイマイチはっきりしない部分が散見されます。
あとから「あ、その設定で進んでたのね」みたいなのありましたし。

顕著なのは5章のルート分岐のあたりでしょうか。
唐突に「条件が揃った…!」とか言われてもなんかこっちとの温度差すごいですし、そもそもクラインの設定の話とか永遠にふわふわしたままですし、彼との1回目のバトル描写が急にスキップされて「???」でしたし。
ギャグ世界の住人が急にシリアスに豹変するのやめてください。
他のどうでもいい話にテキスト割いてるんですから、もう少しそのあたりの背景掘り下げるのに使ってもよかったんじゃないですかね?
固有名詞をそれっぽく並べて説明した雰囲気出されても、すっきり腹落ちしない感じがどうにも座りが悪い。


フローチャート式は良い

シナリオ進行がフローチャート式になっているのはとても良いデザインだと思いました。
ゲームの遊びとシナリオの進行が一つの画面で完結できて遊びやすいです。
八重樫南氏を起用していることもあり、多分方向性としてはキャラ萌え寄りなので、見たいイベントを簡単に後から見れるのはメリットでかいです。
サブシナリオを見るタイミングが任意にできるのも非常にユーザーフレンドリーでしょう。
このサブシナリオはすごくソフトハウスキャラの残り香が感じられて、故人を偲ぶような心地でした。

ただ、フローチャートのデメリットも出てまして、ルート分岐とはあんま相性良くありません。
あけいろ怪奇譚』くらい上手く作ってくれればいいのですが、ゲームパートがある分こっちは処理が難しそうです。
というか、4章まで全ルート同時進行みたいな感じですから、本作自体があんまり個別ルートに独自性出そうとしてない雰囲気でした。
それにラスボス出現して「さあ最終バトルだ!」の流れから無期限延期食らって、よくその状況からこいつらセックスに溺れる余裕あるな、くらいの印象もあり、キャラ萌え系だけど個別ルートの大枠は全員似たようなプロットで、どこか事務的ですらあります。
アートというよりは工業製品な感じ。


おわりに

気軽に遊べるチーム++のゲーム性と戯画の最大公約数を狙っていくキャラ萌え系ノウハウが融合して、なんか良い感じのやつができる可能性はあったかもしれません。
実態としては、遊べないわけではないけれどどこか噛み合ってない印象でしたが、本来であれば今回の反省点を次回以降に反映とか期待できたはずです。
独自のノウハウ持ってるチームの移籍一本目ですから。
そう考えると、実に残念な一本でした。


2023.01.30