エヴァーメイデン

私たちのライアーソフトがまたえらい尖ったタイトルを投入してくださりました。
百合でミステリーですよ、と思いましたが『クダンノフォークロア』とか『Flowers』シリーズとか、案外ありましたね。
というか『漆黒のシャルノス』あたりも、百合でミステリーと言えないこともないかも…?
まあほら、少数は少数だし、今回は今回でまた全然別物がでてくるから!


百合の予習復習

というわけで本作、『屋上の百合霊さん』で予習して本当に良かった…!
しかしながら百合としての在り方は実に対照的でして、『百合霊さん』の爽やかすぎるスキンシップの延長線上みたいな行為に比べ、禁忌に背く背徳感ありつつ秘めやかに行われる本作の行為は、そうだよこれが私が思い描いていた百合だよ! という塩梅。
ただそれ以前に、この世界に対する謎のほうが前面に出てくるので、いかにもな百合百合しい百合とはまた異なる味わいです。
物語や世界観の構成をして副次的になんか百合がハマってしまった、くらいの勢いがあります。
徒花異譚』のときも思いましたが、コンセプトを落とし込むのは本当に巧みです。
こういう世界観の方が前に出てくるあたり、これがライアーソフトだ感があって大変よろしい。


キャラが刺さる

私の趣味のきわどいところをズバズバえぐってきます。
ど真ん中のストレートというよりは、アウトコースいっぱいのスライダーみたいな感じ。
そうきたらもう唸るしかない。
特にロビン、めっちゃ好きです。
こういうイケメン系ボーイッシュたまらなくないですか?
しかもかわしまりの氏です、もう無敵です。
それ以外も野月まひる氏がレギュラーで盤石、加えてあじ秋刀魚氏がきました。
なんだここは、私の趣味見本市か?

大石竜子氏のグラフィックもらしさ全開で、この人こんなエロい乳描きましたっけ?
平均バストサイズが大きめなのは単純に喜ぶべき事態です。
デカくてかつ、ちゃんと色気があります。
この人ホントとどまるところを知らないな、実に恐ろしい…!


サントラを買いました

主題歌の『Nevermore』がすごくいいので、サントラを買ってしまいました。
いつも通り、Rita神は素晴らしいお仕事で満足です。
買ってびっくりですが、曲数少な!
遊んでて全然気づいていませんでした。
場面に合わせて曲をたくさん用意するのはもちろんありですが、少なくて違和感ないならその方がいいと思います。
なんせ、どれ聞いても印象深いですから。
サントラの価値がむしろ上がります、私的には。

そういえば、ライアーソフトボーカルソング集が『Prosit!』以来出ていません。
本作の『Nevermore』を含んで構いませんから、そろそろ作ってくださらないものか。
Rita神以外の歌手の曲がまだいっぱい残ってるの知ってるからな! お願いします!!


滲み出るライアーっぽさ

シンソウノイズ』や『徒花異譚』の海原望氏ですが、あろうことか氏がライアーソフトで手掛けた『フェアリーテイル』のシリーズは放置しています。
ライアーソフト以外から出てるやつはどれもやってるのにね、不思議!

本作ですが、かなりライアーソフトっぽさを感じています。
一番はやっぱり、わかるようでなかなか全貌を見せてはくれない世界観でしょう。
メイデンとは? 造化とは? そもそもこの学園は何? あたりの情報の出し方であったり、あれ、よくよく話聞いてみると何だこれ? というズラしというかスカしというか、やつらは相変わらずユーザーを弄びます。

あとはそこはかとないスチパン感。
いや、ロビンが黄金瞳の持ち主とかそういう話をしたいわけではなく。
造化関連の謎技術体系は碩学関連のそれを彷彿とさせますし、異造化したメイデン候補たちの姿や、そのトリガーが彼女らの欲求欲望ってあたりもなかなか。
プエラリウムという閉じた世界、その外に広がるらしい未知なる広い世界の対比なんかも雰囲気ありますね。
もちろん、大石竜子氏のCGによるところも大です。

うるさい古参ユーザーを喜ばせる土台を用意しつつ、海原氏が得意とするミステリ的な味付けが明確になされている点は大変に憎い。
作り手の個性はガンガン出していきましょうというLiar-soft的に正解ですし、ユーザー的にもその方が嬉しい(はず)です。
過去作のセルフオマージュでファンのご機嫌取りをしようとした『ダイ・ハード ラスト・デイ』みたいになられても困りますもの。


おわりに

スチパンと大きく違うのは、全体図が最後にははっきり見えてスッキリできる点です。
そこはミステリなんでね、むしろそうなってくれんと困ります。
一応海原氏の『フェアリーテイル』のシリーズは手元にそろっているのでそっちを進めようか、ちょっと手が止まっているスチパン崩しをしようか、DL版がリリースされてない旧作を掘りに行くか、次何するか悩みを増やしてくれる一本でした。


2022.06.16