Erewhon 感想

恒例のCLOCKUP阿久津監督買いです。
浅生詠氏は『euphoria』のお方らしいですが、まだやってないんですよね唯一『euphoria』は。
そういえば今年廉価版が出ておりましたし、是非そのうちDL版半額セールとかで入手したいところです。

田舎の地図に無い不可思議な村に狙って迷い込むという導入に若干『紅殻町博物誌』を連想しましたが、それ以外共通点はありませんでした。
紅殻町と違って来待村なる地名は過去実在していたようですし。
ああ、姫様の主食が「紅」なんて話がありましたが、共通点としてはあまりに些細な。

現代文明から隔絶された村の風習がテーマと聞いており、さぞや陰惨な、特に『euphoria』からの流れで凄惨なエロシーンを期待したのですが、ちょっとそういうのではなかったようです。
というか、エロシーンが私の趣味に合いませんでした。

シーン中の擬音が逐一鬱陶しい。
せっかくBGVで流しっぱなしにしてるんだからそんなにテキストで延々とじゅぼじゅぼやらんでもいいでしょ。
喘ぎ声も同様。
ちょっと多すぎる。
ついでに言うと淫語が世界観とアンマッチな気がします。
この世界観で「新鮮孕み子種チンポ汁ぅぅ!!」は萎えます。
普通にやってもこの手の盛々な淫語はギャグっぽいのに、この世界観だとさらにミスマッチ感がすごい。
十子は「書物で読んだ~」なんて話をしていましたが、間違いなく文献を間違えています。
村に保管されていた書物はきっとみさくらなんこつの『五体ちょお満足』あたりだったのでしょう。
誰が持ち込んだのか非常に気になるところです。

雰囲気で気を使って欲しいなあと思ったのは、共有妻やサエを肉便器扱いするシーンで「この村ではこれが当たり前なんです」みたいな庄三の発言。
あまりにも説明台詞に過ぎますし、外界と接触の無い村で外との比較はして欲しくなかったです。
「この村では」っていうのは外の常識ありきの発言なのでどうしても気になります。
まあ庄三が来待村生まれではないようなので、設定上外界との比較は可能なのですけれども。

上記に加え、祭(作中だと「祭り」表記でしたが、名詞に送り仮名つけるの私嫌い)の全容は見えてこないし、稀世良は幼女のくせに主導権握りっぱなしで腹立たしいし、主人公は煮え切らないし十子は幸せにしてやれないし、あれ、もしかしてこれヤバいの踏んだ?久しぶりにクソゲーオブザイヤーに選評投稿しちゃう?っていうのがサエルートまでの話。

過去編が開放されてから事態は一変。
来待村の過去、御廻様伝説の真実が明らかになる怒涛の展開に、これまでの消化不良がすごい勢いで解消されていきます。
で、異世界から超常のパワーが関与してるわ、時空を超える洞窟があるわ、なんかもう『火の鳥』じみた世界に突入して、ポジティブな意味でヤバいの踏んじまったよと興奮が止まりません。
しかも最後の最後でようやく十子を幸せにしてやる事ができた。
当初の目的がようやく果たされてホントに良かったです。
あれだけ謎時空に閉じ込められて、変えることの出来ない結末に擦り切れ果てて、そりゃ執念の行き着いた先で触手生命体になってしまったとして誰も文句言いません。
終始煮え切らなかった主人公が唯一筋を通してくれました。

この過去編以降は、当初全く予想もしていなかった展開で、こういう裏切りは堪りません大好きです。
だってちょっと設定を捻った抜きゲーだと思っていたら、謎ループからまさかのなんちゃってSF風味な『腐り姫』的展開からの、ラストはまさかの『沙耶の唄』っていう。
主人公とヒロインの立ち位置が逆ではありますけれど。

序盤の心配が、今となっては嘘のようです。
しかし、CLOCKUPの阿久津チームはルート選択に最初は制限つけるから、という事前知識が無ければ先述の理由で絶対に投げてました。
そう考えると危うさも感じる構成ではあります。
あとやっぱりエロシーンです。
正直スキップしようと思いました。
でもエロシーン中に伏線撒かれてたら困るしなあ、と流し読みで処理しましたが、ストーリーは間延びして感じるわ世界観とアンマッチだわ輪姦乱交ばっかりでイマイチ代わり映えしないわで三重苦。
抜きゲーだと思って買ってエロシーンがダメとか何の冗談だよって話です。
それで逆にあまり期待していなかったストーリーの方が面白いんだから、ホント遊んでみるまで分からないものですこの業界。

という、終わり良ければ全て良しで良いんじゃないですか?と済ませてしまいたい一本でした。

2018.09.28