自然との戦い in Tokyo

私が無職期間を終え、東京に居住を移してから早くも4ヶ月が過ぎようとしております。
別に、オラ東京さ行くだ的テンションで上京ぶちかましたというわけではなく、単純に地方は求人が少ないのです、特に雇用条件が一定以上のやつ。
幸いにも私は、巷で噂の人手不足の後押しもあり、そこそこ希望通りの再就職を果たしました。
が、しかし、東京というのはまことおそろしか場所ですたい。
もうね、家賃がすごい。
安いところでワンルーム8万円~くらいの勢いじゃありませんか。
立地とか築年数も条件に入れたら普通に10万以上かかる、そんな恐ろしいところ。

貧乏人根性の権化たる私がそんな金を出すわけも無く、行き着いたのが今のボロアパート。
そりゃもう、条件はいろいろ諦めました。
求めたのは、通勤時間30分以内の立地と風呂トイレ別、くらい。
築年数? 知りません。
近隣環境? 知りません。
設備? 風呂とトイレがあるじゃありませんか、OKです。
秒殺で内見を終わらせて契約手続きに入りました。
MASTのお姉さんびっくりしてました。

まあ結局、住めば都なのです。
住むところにあわせて生活スタイルを変化させる事が出来る、人間の順応性のなせる業でしょう。
しかしながら、予見していなかった事が1点。
大都会コンクリートジャングルとは言いつつも、この東京という都市ですら、自然と完全に縁を切っているわけではないというのが盲点でした。
こんな環境に息づいているだけあってやつら、隙を見せれば牙をむきます。
抵抗しなければ、あっという間に飲まれてしまうことでしょう。

というわけで、前置きが長くなりましたが、せっかくなので私と東京に残る自然とのささやかな戦いの記録をここに記そう、というのが本稿の趣旨でございます。


BATTLE 1. 雑草

このボロアパート、建築法的な縛りでしょうが、敷地キワキワまで建物が占めているわけではありません。
ベランダ的スペースには地面が露出しています。
私の部屋は1階なので、この1.5畳ほどの空間は私の部屋に帰属するスペースです。
この地面を庭と呼んでいます。
東京で庭付きの物件に住んでいるんだよ、とか言ったらちょっとしたステータスアピールになりそうです。
アピールする相手はいませんが。

内見の時には、ああ、ベランダもちゃんとあるのね、くらいの意識しかしていませんでしたが、改めて見ると雑草ぼうぼう。
せっかく土が露出しているんだから、何ちゃって家庭菜園とかしてみたい。
早速草引きです。
所詮なんちゃって庭空間ですから、雑草ぼうぼうとはいえ高が知れています、そう、表面上は。
草引っこ抜いてて気付きました。
強い雑草は根っこがエグい。
庭の地中を無尽蔵に走る根っこ網は、さながらこの街の地下インフラが如し。
ええ、全部掘り返して引っこ抜いてやりましたとも。
一日がかりでしたが、私の勝利です。
なお、ものの一ヵ月後には地中の根が元通りとは行かないまでも、かなりの部分再生していたので、今後も戦いは続きそうです。
なので訂正して、とりあえず第一次雑草大戦には勝利、ということで。


BATTLE 2. にゃんこ先生

皆さん猫好きですか?
私は嫌いです。
やつらの毛を吸い込むと、くしゃみ鼻水涙が止まらなくなります。
DNAレベルで苦手なのです。
あ、でも猫耳美少女は好きです。

とはいえ、私も暇では無いので、またそこまで恨んでいるわけでもないので、近所の野良猫を逐一駆逐してやるとか、そういう極端な事考えているわけではありません。
黒にゃんこが目の前を横切ろうと、近所の奥様子供老人方々が、にゃんこ共に餌付けをしていようと、勝手になさってください。
ただし、私に不利益が無い範囲で。

で、不利益が降りかかってきたわけです。
朝起きて、洗濯物を取り込もうとしたら、私が必死こいて雑草を引き抜き、整地した庭にあれです、うんこ。
そう、うんこ様が一晩のうちに降臨なさったわけです。
これが神の奇跡ならば、袋詰めにしてメルカリで販売してやるものを、どこにでもある純粋ピュアうんこですからどうしようもない。
やつらにとって、平らで土が露出している地面っていうのは格好のうんちングスポットらしいです。
猫のトイレ用の砂買ってきて設置すると、特にしつけたわけでもないのにそこで排泄するようになるのはそういう理屈との事。

さて、そんな憎きうんこ様。
にゃんこ様のうんこだからすげえ臭いんです。
さすがにこれは耐えられない、という事でいろいろ調べ、買って来ました忌避剤。
にゃんこ共が嫌がる臭いの顆粒を庭に撒く事で、やつらを遠ざける作用があるそうな。
人の嫌がる事はやめましょう、との教えをガン無視して、喜々として撒いてやりました忌避剤。
大丈夫、あいつら人じゃないからセーフ。
なれどやつらも、都会を生き抜くしぶといにゃんこ。
あろう事に散布の翌朝、私の努力をあざ笑うかのようにうんこ様が鎮座しておられました。

で、第2弾として投入したのが、こいつです。
説明が私の日本語だと怪しいのでリンク張らせていただきます。
さすがにこいつの効果は絶大でした。
設置以降うんこ無し。
しかもソーラー充電が出来るのでメンテ不要。
あとはにゃんこ共がこれに慣れるか慣れないかの勝負ですが、これに慣れるくらい野生失ったら、そもそも生きていけないことでしょう。
よって、暫定的ににゃんこ侵略戦争、撃退により私の勝利。


BATTLE 3. ミツバチ

私のささやかな趣味の一つに、コケ栽培があります。
その栽培方法が、水を張ったトレイにレンガを浸し、そのレンガにコケを定着させる、というもの。
私はずぼらなので、普通のペットだと世話を忘れてすぐに死なせる自信があります。
でも何か育てたい。
そんな折に目をつけたのがコケでした。
世話を忘れても滅多な事では死にませんし、世話の方法も、このレンガ方式を編み出してからはますます手軽になる一途。
レンガが水を吸い上げて、コケ的にはいい感じの状態になるのです。
そこまでして何か飼う必要はあるの? という疑問はさておき。

で、この水供給用のレンガが狙われました。
ミツバチって花の蜜やら花粉やら集めてる印象が強いですが、どうやら水も同じくらい重要らしいのです。
最初は1匹2匹がブンブンと、それはそれは微笑ましい光景でした。
ですがある休日、今日はいよいよ暑くなってきたな、という天気の日。
ふとベランダに目をやると、何十、下手をすれば百に届きそうな数のミツバチがブンブンと水張りトレイの周りを囲んでらっしゃるじゃありませんか。
これにはさすがの私もビビリました。
日常の中でこの数の蜂を目にする事はまずありません。

これはしばらくベランダは諦めて、洗濯物も部屋干しかな、なんて一瞬思いましたが、この狭いアパートで部屋干しとか無理。
あと、近所の子供達が万が一にも刺されたらどうするんですか。
別に子供達がどんなに痛い思いしようが知ったこっちゃありませんが、危険を放置していたという事で私が責任追及されたらどうするんですか。
という、高度な大人の判断が求められる場面だと思いましたので、素直にレンガを地面に直置きし、もう少し真面目に水やりをする事で落とし所としました。
限りなく痛み分けに近いですが、やつらの脅威は去ったので私の勝ちです。
多分、日露戦争くらいのグダグダ終戦。


BATTLE 4. 蟻

私のこれまでの経験からいって、害虫というのは勝手に部屋の中には侵入してきません。
換気中の窓やサッシ、ドアから出入りする瞬間、そんなタイミングでこそっと入ってきます。
つまり、可能な限り部屋を密閉しておけば、そうそう虫の侵入で嫌な思いをする事は無いのです。

そんな私の中での勝利の方程式が、脆くも崩れ去ろうとしているのがここ最近。
部屋の中でやたらと蟻を見かけるのです。
その蟻を追いかけてなのか、ハエトリグモも、確認しているだけで3匹ほど。
模様や大きさから、多分全部別個体です。
蟻の1匹2匹であれば、私の密封も完璧では無いので進入を許す事もありましょう。
しかしそれが5匹6匹、果ては10匹を超えてくると、これは明確に侵入ルートがあると断ぜねばなりません。
犯行予告先に刑事が到着し、現場封鎖をしている担当者に「状況だどうだ?」と尋ねたら「蟻の一匹通しはしませんよ!」と応えた挙句、時間になったらあっさり進入を許す、あんな気持ちです。

これに関しては、現在進行中で対応を検討しています。
なにせ、侵入経路が分からないので、そこを塞いでの根本的な解決が出来ません。
経路が開いていれば、別のよからぬものにも進入を許しましょう。
あくまで対症療法ですが、暫定的にはアリコロリ的な毒物を投入しようと思います。
怪しいのは台所の裏とベランダのサッシ。
前者はもう物件的にどうしようもない問題。
後者は隙間埋めたりすればなんとかなるかも?
とりあえず、本日毒餌を買ってきましたので、台所下の戸棚と冊子に設置です。
これでパタッと消えたら笑います。

この勝負は、正直これまでで一番キツいです。
部屋中蟻まみれになって私、何も出来ません。
原因が分からない現象には手の打ちようが無いのです。
というわけでこの戦いは、俺達の戦いはこれからだ、という事で。




おわりに

この行を読んでいらっしゃるという事は、この益体もない記事を最後まで読んでくださったということですね。
誠にありがとうございます。
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アリをやっつけて、また新たな敵が現れたら、似たような記事を書きたいと思います。
まだあいつが残ってますからね。
アリが入れるなら絶対に入ってこれる、害虫の王たるあいつ。

これが変な前振りにならない事を祈りつつ、それでは、また。



……じょうじ。

2019.05.26