ゆのはな 感想

故きを温めるは大事なことです。
本作においても、改めてプレイしたら当時とはまた違う気付きがあります。
10年前は、ゆのはがやたらめったら金だ金だうるさいな乳もないクソガキのくせに、という印象でしたが、今となっては田舎の自営業相手に給料日払いでしかも現生手渡しとか税務署に補足されない事実上の非課税所得じゃねえか理想的な小遣い稼ぎだな、なんて発想になりますから、おとなになるってかなしいことです。

基本的に本作キャラ萌え系なので、内容的に特筆すべきところは多くありませんが、強いてあげるならば舞台でしょうか。
主人公が入り込むコミュニティが大きくは商店街、そして個別でそれぞれのバイト先店舗となりますので、萌え系にありがちなまたこの展開かよ感(特に学園モノ)が軽減されています。
ただし、ライターの丸谷氏が1から10まで描写するスタイルなので、よく言えば丁寧、悪く言えば冗長です。
もう少し思い切って要らないところをバッサリ切っていくとテンポよく洗練された印象になると思います。

もったいないなと思ったのは、せっかく学園の外へ出たのにヒロイン半数が学生という身分な点です。
目的の一つに、主人公の生存を確保するために20万円をゆのはに納める、なんてのがあるわけですから、働くってところにもう少し焦点を当てても面白かったんじゃないかなあと。
学生だとどうしても家のお手伝い感が勝ってしまって働いてる感が薄いです。
椿さんルートはそのあたり、職場の同僚っぽさが良い味出していたように思います。
あと私が純粋にこの手の姉御肌に弱いです、大好物です。

今から入手するなら『心あたたまる3つの物語』が良いかと思います。
OSがwindows7まで対応してますし、『遥かに仰ぎ、麗しの』がセットでお得です。
『しろくまベルスターズ』はどうでもいいです。
何よりも、トールケースで場所取らないのが素晴らしい。
PULLTOP公式ページより消えているのが若干気になりますが。

極論すると「田舎に泊まろう~ゆのはな町編~」でやってくれれば私としては十分でした。
乳のない自称土地神はどうでもいいので。
その辺は10年前の私と同じ感性だったので少し安心しました。
でもあの乳のないのがいないと話が始まらないんですよね。
そのあたりも、ストライクなヒロインが一人いるだけで逆転できてしまうからキャラ萌え系ってずるいなと思った一本でした。

2015.11.05