TRIPLE&SADISTIC ドSなオレと令嬢たちの14日間 感想

嘘屋氏の個人サイトの情報で購入しました。
この人ホントあんま大々的に販促しないところでばっかり仕事するので、普通にやってたら新作情報見つけるだけで大変です。
本作も、サイトでの告知を見なかったら見向きもしなかった可能性大です。

抜きゲーとみせかけてなかなかのバカゲーです。
アホさ加減では『逸脱』といい勝負できると思います。
さすがに肛門から火炎放射のインパクトには及びませんけれども。
しかしながら方向性は違えど、アホなことを至極真剣にやっているという点では引けを取らず、やはり笑えます。
タイトルに「サディスティック」とありますが、いかにもなSMの女王様ってわけではありません。
我々の業界で言うところの「S」と、心理学の世界で言う「S」っていうのはちょっと違うらしいですし。
矢幡洋なんかは、心理学で言うところの「S」の大きな特徴のひとつとして「相手との関係性をとにかく勝ち負けで考える人」というポイントを挙げていました。
それに倣うならば、本作での「サディスティック」はドンピシャでしょう。
主人公とヒロインがガツガツ角突き合わせ、皮肉の応酬に言葉尻捕まえて勝ったの負けたの繰り返します。
このあたりは『さかしき人にみるこころ』に近いものがありました。
使い古された定型文のやり取りではなく、キャラクターの意思を感じるやり取りが良いです。
これを相手を負かしてやろうっていう意思バリバリでやるから思わずニヤッとしてしまいます。

本作、男の裸がやたら前面に出てきます。
種々の事情により主人公は牡奴隷状態ですから、男として屈辱的な体勢で攻められますので、男の裸が出ないことにはどういうプレイなのか伝わらないのです。
エロシーンってエロい事される側を中心に持ってこないと映えないんですね。
初めて気がつきました。
そしてヒロインに掘られまくるという。
強烈です。
あとたまに人体構造が異次元になりますが、正直どうでも良くなります。
しばしば攻守が逆転しますので、いつも中心に主人公、というわけではさすがにありませんが、どうやってもマッチョなイケメンの全裸体が印象に残ります。

シーンによってはこれが結構笑えるんです。
ギンギンに勃起した主人公に裸踊りを見せつけられて我慢できなくなったリスカが「玲一様、淫ら過ぎます!ああっ」ってもう、愛おしいくらいにアホな図です。
しかも恐ろしいことに、同レベルのアホなシーンがまだいくつもあるという……。
バカゲーです。

勅子さんが素晴らしいです。
というよりは、勅子さんとのやりとり、関係の変化への持って行き方が素晴らしいです。
「このクソ女今に見てろよ」から「あれ、実は俺たち似たもの同士気が合うんじゃねえの?」までが実に自然で、「あれ、実はもしかして……」という気付きを主人公と共有できた気がします。
また、ちょっとした薀蓄がちょくちょく出てきて面白いです。
ただ薀蓄を披露するだけでなく、本作の場合「どうだ、知らないだろ?」という勝ち負けの材料になります。
これは使い方上手いな、と。
にしても正直、祈子とリスカは勅子さんの付け合わせみたいなもんだったかなあ。
終盤の祈子なんて、物語の進行上必要な舞台装置みたいな役回りですらありましたし。
舌ったらずで一人称が自分の名前な幼女に拒絶反応起こしてしまう私自身の嗜好の問題もありましたけれど。
それはさておきとしても、本作間違いなく勅子さんのためのソフトです。
だからこそ納得いかないのがタイトルの「TRIPLE」です。
主人公、勅子さん、あと一人が、まあ多分祈子なんでしょうけど、そこまでウェイトでかいかなあ。
確かにサディスティックではありましたが、主人公と勅子さんと肩並べてタイトルに出てくるほどだったかなあ、という印象がどうしても拭い去れません。
初回特典の祈子ディスクをプレイすれば印象が変わるのかもしれませんが、先述の私の嗜好の問題もありプレイする気にはなりません。

意外なほどハマりました。
適当にプレイするつもりではありましたが、ここまでサクサクプレイ出来てしまうとは。
別に、私が尻の穴掘られたいとかそういう願望があるというわけではなく、いや、ここまで尻掘られるゲームも初めてでしたけれどそれは置いといて、嘘屋氏のテキストが私に合っているんだと思います。
結局合う合わないで片づけてしまうっていうのもどうかとは思いますが、そこに落ち着いてしまうんだから仕方ありません。
好きなもんはしょうがないのです。
尻掘りまくりな件も合わせ、やっぱりこの人は他とはちょっと違うなと再確認した一本でした。