ジンコウガクエン 感想

本作に目的はありません。
イベントもなければクリアもありません。
学園という舞台とそこに通う生徒を自由に作り出し通わせるシステムだけがどんとあるだけです。
最初は何をしていいか分からず戸惑いますが、プレイしているうちにだんだんとわかってきます。
別に何もしなくてもいいのです。
どちらかといえばシミュレーターとしての色合いが強いでしょう。

ゲームの大まかな流れとしてはまずキャラクターを作ります。
メイキングはお手軽設計で、設定箇所はそこまで多くはないにもかかわらず非常に多彩なキャラクターを作れるようになっています。
ただこれが、自分の好みのキャラクターを作るだけなら十分なのですが、好きなアニメや漫画のキャラクターを再現するとなると、設定箇所もパーツ数も足りません。
また、工夫に苦労と妥協を重ねて外見的な部分が満足いく仕上がりになっても、性格の設定があり、性格によって声が変わるのでこちらまで似せるのはもう不可能でしょう。
私は性格と声から再現キャラクターを絞っていく方法を試しましたが、そちらが合致しているキャラクターに限って今度は外見を似せるにいたりません。
ですから「あのキャラを作って仮想学園生活をエンジョイしよう」という需要にこたえられるものには仕上がっていません。
そちらを期待される方はご注意を。

キャラクターメイキングと本編の学園は独立しており、デフォルトで入っているサンプルデータを使えばキャラクターメイキングなしでも遊ぶことができます。
一度こちらを試してからの方がキャラクターメイキングで好みなどの設定をつかみやすくなるでしょう。
学園生活はまず、自宅パートでクラスの作成から始まります。
作ったキャラクターを配置するだけですからそんなに手間ではありません。
そしてプレイヤーキャラクターを設定します。
これも一日ごとに変更可能なので真剣に悩む必要は無いでしょう。
これらを設定したら自宅パートは終了し登校です。
学園ではまあ特にこれをしなければならないというのはありません。
行動コマンドというものがあり、プレイヤーキャラクターの行動を決定します。
自分で作った好みのキャラクターを普通に落としに行ってもいいですし、設定によってはクラスで男を自分だけにしてハーレムなんていうのもできますし、男女一人ずつのみの設置でこの世界に人間は二人だけっていうなんちゃってアダムとイブもできます。
学園は時間帯が分けられており、朝、昼、放課後、部活終わりの四つで構成されています。
それぞれに時間帯固有の行動コマンドがあり朝は「予習」、昼は「昼食」、放課後は「練習」、放課後は「帰宅」です。
狙ったキャラクターに時間帯ごとにこまめにこれらのコマンドを繰り返していると好感度がどんどん跳ね上がりますので、ハーレムも意外と難しくなかったりします。

キャラクターメイキングは非常に楽しいです。
好き勝手に作っていたら、私の好みだけが反映されたクラスがいつの間にか完成していました。
みんな巨乳……。
人間の集団としての健康度はその集団を構成する人間の多様性で測ることができまるといいます。
これはいかんと意識していろいろなキャラクターを作ろうとしました。
すると今度は私自身全く魅力を感じないキャラクターを作らなくてはならないという、本末転倒な事態が発生しました。
それはそれで楽しいといえば楽しかったのですが、どうせクラスに加入させても空気になるんだろうなと思うと少し空しかったです。
プレイキャラクターを固定してやったのですが、そうすると同時に好感度を上げることができるキャラクターの数というのは限界があり、また移動時間なども結構面倒なので、対象は一人に絞りました。
妥協ではありません、一途なだけです。
天下のプレイボーイである私にかかれば好感度をMAXにするのにそう時間はかかりませんでした。
時間帯ごとに話しかければいいだけですから簡単なものです。
若い二人の性欲はとどまるところを知りません。
私の自宅はもちろん、学校のあらゆるところで事に至りました。

グラウンドとか開放感半端じゃねえです。
私の趣向を詰め込んだ女性キャラなので、それなりに長く楽しめました。
しかし私も人間ですので飽きというものはやってきます。
大好物も食べ続けると嫌になるように、別の味を楽しみたくなっていたのです。
こうなったときにいくらでもクラスを編集できるというのは助かります。
新しくキャラクターを作り、早速転入させます。
この娘の出来が思いのほか良くて、恥ずかしながらのめり込んでしまいました。
遊びのつもりが夢中になってしまったという、典型的な浮気男のいいわけです。
そうなると邪魔になるのは昔の女。
いまだに形の上では彼女との関係は継続中で、学園内で事に及んでいると、嫉妬に怒り狂った彼女が行為を強制的に中断させるのです。
それでいて別れを切り出すと断るのですから、そりゃもう肉体言語に頼る他ありません。
このゲームにはケンカを売るというコマンドが存在しておりまして、ちょっと痛い思いさせてやったら彼女はすぐ別れを承諾しました。
浮気男がDV野郎にランクアップしました。

本作にイベントは用意されておりません。
二人で力をあわせて何かを成し遂げるとか、そういったことは一切ないのです。
しかし遊び方次第ではいくらでも面白い展開に持っていけるので、ないならないなりで遊びようもあります。
今回私はDV野郎に成り下がりましたが他にも、プレイヤーキャラクターを変更することで自分の女を自分で寝取る、二股をかけその二人にも肉体関係を持たせるなどなど、このあたりはイベントがないからこそ思いついた遊び方でしょう。
思いつけば思いついただけ私が世の女性の敵になっていく気がしますが、美少女ゲームで遊ぶということは、美少女をやりたい放題に己が欲望をぶつける対象として弄ぶということですから、そもそも我々はみな女性の敵なのです。
だから全くもって問題ありません。

以上の理由からイベントがないのはまあ問題はありません。
あるならあるで良い事なのでしょうが、面白いイベントって難しいです。
それに何度も何度も同じイベントを繰り返すのは確実に飽きます。
そのあたりを総合してのイベントなしなのでしょうきっと。
クラス単位の人数を同時に動かす負荷や、大人数だからこその性格の大幅増加が容量を圧迫した側面も無視できません。
大人数だからこそいろいろな遊びができた部分もありますし、一人を追いかけていたらいつの間にか私の知らぬところでNPC同士が恋人関係になっていたり、同性愛によって男同士女同士がくっついていた時の驚きもなかなかものでした。
ですがキャラクターメイキングのパーツは絶対に足りません。
倍くらいあってもいいと思います。
性格と声についても、各性格に複数のボイスがほしいと感じました。
全性格に全ボイスなんて無茶は言いませんが、もう少し自由度がほしかったです。
またエロシーンに関しても、体位の数だけ充実させるのではなく、例えば何らかの道具であったり、その場所に即したプレイを挿入するであったりの工夫がほしかったです。
場所変えて何が変わるって背景だけですからね。
後に公開されたパッチでいじれる設定が増えたみたいですが、便利になっただけでゲーム自体の魅力というのは特に向上していないように思います。
人工少女3のときのような追加ディスクを強く望みます。
出たら間違いなく私買いますから。

最後にもう少々。
友人に自分の作った一番出来の良いキャラクターのデータを交換しようといわれました。
私はエディットの髪型パーツに坊主頭を発見して思わず作った瀬戸内寂聴のデータを提出し、友人からは怒りのメールが届きました。
せめて夏目雅子にしろと。
友人が作ったキャラクターは幼女でした。
完全に私の守備範囲外です。
人というのはどうやっても互いに分かり合うことのできない生き物なのだと感じる出来事でした。