積みゲー賽の河原



SHUFFLE!

毎月毎月飽きもせず、よくもまあ似たり寄ったりの学園萌え系をリリースするものだとある意味感心しておりますが(暴言)、そのフォーマットみたいなのが固まったのがこの時期だったように思います。当時世に出ていた非抜きゲータイトルは、壮大な設定に基づくシリアスな内容や泣ける展開にしなければならないという強迫観念に駆られていた印象があります。

そんな2004年当時にスマッシュヒットをかましてくれたのが本作です。興味深いのは、上記の強迫観念を全てすっ飛ばしてしまった点です。可愛いヒロイン達とキャッキャウフフ出来ればそれでいいじゃないというスタンスを前面に押し出しています。一応、神界、魔界と人間界がゲートでつながって魔法技術が確立された社会、みたいな設定こそあるものの、詳細な描写がある訳でもなく、ストーリーにギミックとして組み込まれている訳でもありません。ぶっちゃけハリボテみたいなものです。あくまで本作のポイントはヒロイン達とのキャッキャウフフのみを抽出してやった点にあり、シリアスな展開泣ける展開やそれを支えていた世界観は形骸化していても構わないわけです。
確かに各ヒロインのルートにて終盤はシリアスな展開になるものの、そこまで重くなりませんし長々引きずりもしません。冷静に考えてみれば各自の問題に神界魔界の設定を無理矢理絡めているだけで、実態はお悩み相談レベルです。この良い意味での軽さも上手く作用しているように思います。いわばマーケティングと企画力の勝利でしょう。マーケティングを本当にしっかりしていたのか、企画を練りに練っていたのか、実際のところは定かではありませんが、ユーザーのニーズにヒットしたのは間違いありません。どこもこってりがっつりのメインディッシュばかり作る中、サラッと入るお茶漬けくらいの軽さがウケたようです。

『TickTack』『Really?Really!』との3本セットで今となっては中古で5000円といったところでしょうか。コストパフォーマンスはそこそこだと思います。シナリオ担当あごバリア氏特有の、記憶ネタと過去改変ネタしか書けない病の真髄が垣間見えます。いや、全作プレイしているわけではないので、それ以外にも引き出しあるのかもしれませんけれども。

ヒロイン主導のキャラ萌え系が本作以前は存在しなかった、なんて暴論を持ってくるつもりはさらさらありません。しかし、ヒロイン以外のリソースをここまで削ってかつ2004年の年間セールスTOP3に食い込んできたという事実は十分にエポックメイキングな事件だったと思います。前年の2003年に年間トップだった『マブラヴ』も学園モノでしたが、UNLMITED編を切り捨ててEXTRA編に特化してかつ更にライトにしてしまったわけですから実に好対照です。
冒頭の暴言はかなり本音ですが、本作については別です。実に見事な発想の転換で成功を収めました。とりあえずそれっぽいもの作っておけばいいや、という粗製乱造のコピーではない意思がこもっています。そういう先駆者なのだと考えると、なんだか敬意を抱きたくなる一本でした。

2015.11.08