積みゲー賽の河原



LOVE&DEAD

自らB級を名乗るだけあって、実に安っぽかったです。しかし、安っぽいからといって手を抜いているというわけではなく、全力で安っぽさを追い求めているといった感じです。安っぽい、というか実際最初は安かったのです。元々は各主人公ごとに別々で売られていたものに、追加のアペンドディスクを一本のパッケージにしたのが本作です。「はじめから」を選ぶと、主人公の選択から始まるあたりにその名残が見て取れます。

しかしながら本当によく死ぬゲームです。即BADENDの選択肢がたくさんあります。ENDは大きく分けて三種類。まず本編のENDが三人の主人公にそれぞれ三人ずつのヒロインに一つずつで9個。アペンドシナリオでヒロイン一人につき三つのENDが追加されているので、これが27個。そして即BADENDが、ちょっと数えるのをためらうくらいあります。また、アペンドシナリオのENDがやたらと投げっぱなしです。全部が全部ではありませんが、「え、この先が面白くなるんじゃないの?」ってところでも平気でエンディングテロップに突入します。そのあたりがB級っぽさ、安っぽさを加速させます。それぞれエンディングテロップが異なるので見分ける事ができますが、コンプリートが最高に面倒です。私は途中で自力攻略を諦め、攻略サイトのお世話になりました。制作のライアー側も選択肢の多さ、攻略の面倒くささを自覚していたようで、未読までジャンプの機能を搭載してくれています。まあこのジャンプ機能はライアーの他作品にも搭載されているのですけれども。

感動のストーリーとか、驚愕の展開とか、壮大な世界観とか、そういう素敵な要素はありません。いや、驚愕だけならありますが。先述の本編ENDではヒロインとそれなりにパッピーエンドっぽくなりますが、それ自体が魅力になるほどのストーリー展開だったかといわれれば疑問です。はっきり言ってしまうとしょぼいです。発売後三カ月で誰の記憶からも消え失せる有象無象の学園萌え系の手口に近いです。ただ、これをライアーがやると、その手の学園萌え系への皮肉っぽくなるから不思議です。ヒロインの魅力命、逆にいえばヒロイン以外には何もないのは、大半の学園萌え系に言える事だと思います。そこであえて(かどうかは意見が分かれるでしょうが)ヒロインを万人受けしない方向でデザインしてくる。なにせ唯一全主人公でENDがあり、もっともプッシュされているといってもいい園美が、よりにもよってゾンビですから。

全体的に漂う安っぽさのわりに、主題歌がやたらと良いです。いつも主題歌には力を入れているライアーですが、本作でもここだけは譲れなかったみたいです。主題歌の作詞はいつも歌担当でもあるRitaさんが行っていますが、本作ではシナリオの岩清水氏が行っています。そのためか、他作品ほどは作品世界を反映しきれていない印象です。ですが、ノリの良さはライアー作品主題歌でも屈指といっていいでしょう。まあ、私も全作品をプレイしているわけではないので断定はできませんが。とりあえずこの主題歌『恋してるし』が入ってるライアーボーカルコレクションをついつい買ってしまいました。『恋してるし』以外にもライアー他作品の主題歌が収録されており非常に良かったです。

万人受けはしない作品であることは間違いありません。公式サイトにもそれを明記しているあたりライアーらしいです。ひとつ文句を言わせていただくならば、もう少し花王さんの扱いを何とかしてやってください。他のヒロインたちみたいにもっと幸せにしてやっても良かったのではないでしょうか。少なくとも、エピローグで主人公に「(花王さんとの関係について)早まったか?」なんて言われるヒロイン見たことないです。その辺もライアーの術中なのでしょうか。何から何まで「そりゃないよ!」の一本でした。