姦獄島 感想

またliquidが性懲りもなく、とりあえず輪姦シチュエーション詰め込みましたって感じの作品作ったなあくらいに思っていたのですが、どうにも気になるのでとりあえず買っておきました。
男子100人女子4人っていうのがいかにもバカっぽいなと感じたのと、よく見たら定価6800円というちょっと安めのお値段が大きかったのではないでしょうか。

プレイ開始して5分くらいで当たりを確信しました。
海賊ボスのヤンさんがすごくいい味出してます。
素敵な悪役、この手のゲームでは主人公でしょうか、の気配ムンムンです。
それだけに、オープニング以降全く出番がなくなってしまったのは残念で仕方ありません。
パロディネタがちょくちょく入りますが、それもわりと気にならない程度に収めてあるのも好感度高いです。
そもそも本作自体が15少年漂流記やらをモチーフにしている節があり、それも手伝ってか終始新鮮な気分でプレイすることが出来ました。
やっぱり先がどうなるか分からないって素晴らしいです。

(学園萌え系作品への愚痴、省略)

三人称視点での描写が非常にうまく機能しています。
群像劇、というのでしょうか。
特定の主人公の視点というフィルターを通さないからこそ、それぞれの思想や信念の当たり前な対立が浮き彫りになり、非常に良かったです。
本作終盤において、学生達の島での生活が海賊たちによってモニタリングされていることが明らかになります。
おそらくプレイヤーの視点というのはこれを意識しているのではないでしょうか。
だからこその三人称です。
この三人称視点は、強いて言うならばこの世界の悪趣味な人々、そしてヤンの視点です。
これによって我々ユーザーは、登場人物の誰に感情移入するわけでもなく、傍観者の視点を共有することが出来るのです。

エロシーンに関しては、なんというかその、先生がひたすらにかわいそうです。
彼女は終始、人権とかそういうものに縁がなかったらしく、完全なる欲望の捌け口でした。
愛する生徒達に、かなり本格的にモノ扱いされており、その悲壮感がなんとも堪りません。
生かさず殺さず、虫や小動物を嬲る小学生の無邪気さでもてあそばれる先生は、まさしく性奴隷。
徹底的にそれ以外の価値を与えられないという点において、他に類を見ないほどに正しく性奴隷でした。
他ヒロインに関しては、主にバッドエンドの方で凌辱シーンを楽しむことができます。
本作の凌辱において非常に上手く使われているのが暴力への恐怖です。
凌辱作品の場合、どこかのタイミングでヒロインが快楽に堕ちるという描写を挟みます。
その描き方というのが一つのポイントになるのですが、それが本作においては暴力によってもたらされています。
端的に言い表すならば「もう殴らないでください」といったところでしょうか。
暴力の苦痛と恐怖に屈した時、彼女らは男子学生達の性奴隷へと堕ちます。
下手に性感を開発されるよりもよっぽど説得力を持った描写でした。
人間最後は暴力には勝てないのです。
ほとんどのシーンが全裸というのも、無人島という非文明的な環境下で、数少ない文明の象徴である衣服を剥ぎ取り、人としての矜持を奪う非常に効果的な演出だったと思います。

一応島を脱出するルートもあり、そちらでは先生以外のヒロインは凌辱を免れます。
ただし、脱出ルートも大団円とはいかず、どこかスッキリはしません。
特にラストは結構投げっぱなし感が残り、少々残念です。
まあ本作のメインは、無人島という環境下でのインモラルで残虐な展開ですから、島を脱出してしまったらあとはどうでもいいっちゃいいんですよね。
具体的に島を脱出する技術的な問題に直面して解決するまで描いていたら尺がフルプライスになってしまっていたでしょうし。
こちらの脱出ルートが、過酷な環境下で結ばれるヒロイン(先生を除く)とその相手を描いたとすれば、凌辱ルートで描かれたのはおそらく柏葉亮二少年でしょう。
不思議なくらいに彼の存在はクローズアップして描かれます。
そして結局救われなかったのも彼です。
彼は何だったのか。
彼の投げかけてくるメッセージというのを、私自身未だに消化しきれていないのが現状です。
多分、ユーザーによっても意見は異なると思います。
そしておそらく、それで正解なのでしょう。
なんて言ったらちょっとカッコいいんじゃないの、なんて思ってみたり。

シーン数47、CG枚数60に加えてこのテキスト。
正直なところ、これで6800円は安いです。
物語もテンポよくポンポン進み、下手にダラダラと長引くよりはよっぽど締まった内容になっています。
まあ、恐ろしい速度で進歩していく島の文明はちょっとどうかと思いましたが。
島の脱出はどうでもいいと先に述べましたが、ぶっちゃけるとフルプライスでいいので島をもっとカッコよく脱出する彼らっていうのも、見てみたかった気がしないというと嘘になります。
本作がこのボリュームに落ち着いた経緯は知りませんが、少々削りすぎた感は否めません。
いやむしろ、いろいろと削ったおかげで面白かったのか。
そのあたりに可能性を感じる一本でした。