グリンスヴァールの森の中 〜成長する学園〜 感想

ソフトハウスキャラが旅立って早一月。
まあその程度で世界はそうそう変わらないわけです。
残念なようで安心感もあり、不思議な心地というか、言われなきゃぶっちゃけ日常的には興味ない話の部類なんだなっていう、そんな感じです。
どうやらDL版販売の管理がFANZA GAMESに移ったようで、解散後早々に40%OFFセールやってて笑いました。
セールの時でもソフトハウスキャラはまあ値引き率が渋かったもので。
それがいきなり40%と、これは「ソフトハウスキャラタイトル5本1万円セール」ありうるな、というのが個人的な感触です。

全然関係ない話は置いといて本作。
思い返せば私のソフトハウスキャラデビュー作でして、ここからドハマりしてしまいました。
それを今プレイしたらどう感じるのか、思い出補正が振り切っているので客観的な判断は不可能かと思いますが、そのあたりも踏まえて掘り起こしてみた次第です。

ジャンル的にSLGっぽくはありますが、多分SLGではありません。
難易度が低すぎて失敗のしようがなく、そのせいでゲーム感を損ねています。
むしろ経営破綻からのBAD ENDでCG回収するのが面倒なくらい。
まあ失敗も何も、公式が「ゲーム目的は自由なので、世界観に浸って楽しんでください!」と仰ってますし、難易度という発想がそもそもナンセンスなのかもしれませんが。
しかしフタを開けてみると、そんなSLG部分こそが実は本作の妙でして、これ自体が壮大なストーリーフラグ管理ツールになっております。
そこに気づくと、本作の面白みにどっぷりハマれるかと思います。
また周回モードの調整も絶妙で、だんだん仕組みが分かっていくよう設定されています。
これがまた気持ちいいです。
SLGというより、手順の煩雑なADVと認識するのが適切でしょう。
フラグ立ててイベントを回収し、特定エンドを経てストーリーを開放していくという、そういう遊びです。
感覚的にはループモノの攻略に近いかもしれません。

とはいえ、公式が行っている通り、全くそれを無視して遊んでもいいわけです。
とにかく最終の評価ランクを上げようとか、金を稼ごうとか、それはそれでとても楽しいですし、レグルリア王国にひたすらパンプキンを送り込み続けるのも当然アリです。
国力ガタガタなくせに風俗だけ突出してるグラフ見ると笑えます。
私の腐った脳みそは、風俗とみると性風俗店しか連想できないので、そういうグラフを見ると一昔前の東欧を思ってしまうわけです。
夢にまで見た『ホステル』の世界(ただし冒頭30分に限る)ですね。
いやあ、是非行ってみたい。
……酷い脱線をしましたが、要するにSLGとADVの融合具合が絶妙だったわけです。

しかしながら、ストーリーを進めてヒロインを開放していくという構造的なデメリットも抱えていまして、そりゃ最後に開放したヒロインの方が思い入れ強くなりますよねっていう。
ヴィヴィアンに至るまでの4人のヒロインは彼女の踏み台みたいな、そういう損な役回りです。
というかヴィヴィだけ露骨にイベントCG多いですし、ストーリー的にも確信犯的にそう落とし込んでますもんね。
まあ、あらすじだけ追えば完全にご都合主義のなれの果てなんですが、それ単体でなくてシステムと連動してるから良いんです。
システムの従属物としてのストーリーって、ゲームシナリオの本来あるべき姿かと思います。
またヴィヴィのキャラが良い。
この系統のキャラをやるときの青山ゆかり大好きです。
ゲーム開始後最初に登場するヒロインが、攻略(本作だとこの表現も適切)できるのは一番最後ってのも、散々焦らされた挙句ですから、いやホントよくできてます。
全モード一通りやったあと、フリーモードでゼロからスタートするとこれがまた実に味わい深い。
300年あればのんびりフラグ立てていってもヴィヴィアンのイベント開放まで余裕で間に合うので、総おさらいというか、むしろこれこそが完全版なのでは? みたいな趣があります。

キャラの良作らしく、プレイ中は何故かわからないくらい熱中できるけど、一回落ち着いたら全然やる気起こらないっていうお約束のパターンです。
いいんです、これが私にとっても黄金パターンなのです。
最後まで熱中が持たないから最高評価取れないのは仕方ないというのはいいわけですけれども。
今後は新作が出ないので、こんな風に過去作を引っ張り出してきて振り返るしかできないんだなあと、解散という現実をしみじみ感じた一本でした。

2020.05.10