グランギニョルの夜 感想

あおじる氏の原画で触手メインじゃなさそうだったので手を出しました。
触手は楽しみ方がよく分からないので基本的には避けているのです。
エロに飢えて飢えて仕方なかった中学生の時分にはどんなジャンルでもOKでしたが、贅沢を覚えると好き嫌い激しくなるんですね。
ありがたみが薄れるのも考え物です。

タイトルにある「グランギニョル」とは何か。
Wikipediaの当該ページによると「荒唐無稽な」「血なまぐさい」「こけおどしめいた」芝居の事を指し、転じて同様の形容として今日でも通用するとのこと。
まさにそういうのを求めていたところですが、一通りプレイした印象的には、なんだろうこの肩透かし感。
本筋のストーリー以外のルートが後付け感が半端ねえです。

現時点で3本リリースされている追加ストーリーのDLC。
本編をいくらでも後付け出来る構造にしておいてDLCを前提に企画されているのか、あるいは本筋だけではあまりにボリューム不足だったので無理やりボリュームアップさせるためにいろいろ後付けて、それをカモフラージュするために後付け分の一部をDLCに分割したのか。
もしかするとタイトルもそのあたりの意図で後付けかもしれません。
「グランギニョル」という単語の語源が劇場の名前ですから、先述の形容詞的なニュアンスと、作中設定を統一せずさながら劇場がごとく世界観を使うことを暗喩するニュアンスとでダブルミーニングしているかと見せかけて……みたいな。

本筋のストーリー自体は、伝奇ホラーなテイストが田舎という舞台によくマッチして、それだけなら楽しめました。
この本筋を上手いこと活かしていろいろやって欲しかったのですが、結局その前後日談にちょっとしたヒロインの個別ルートしか出てきませんでした。
それに個別ルートといってもほぼエロシーンだけのオムニバスに近い状態でなんだかなあ。
2周目以降にパラレルルートみたいなのを開放したものの、ついに屍人の設定を完全に放り出して、怪しげな「実」を巡る話にいつの間にかシフトした挙句、またエロシーンを連発してあっという間に終わってしまうという。
この辺が先述の後付け感であり、いろいろと疑いたくなる要素でもあります。

そしてDLCが、あの「実」を食べてしまった後のバージョン違いでしかなかったあたりで、やっちまったなあ、と。
センスの無い同人誌みたいな展開に辟易です。
ちなみにその「実」に関する説明は一切無しです。
マジかよ!

本編のエロシーンは期待に対して及第点で良いと思います。
ふざけるな!という低クオリティでなく、それだけで上記の全てを許せるほどの高クオリティでなく。
ただし、カニバリズムをふんだんに盛り込んだインパクトはかなりのもので、レクター博士ですら脳味噌はソテーしていたというのに、生でダイレクトにいってしまいました。
カニバリズムの強要ってかなりえぐい行為だなというのは今回の発見です。
多分今まで考えた事もなかったってだけですけど。

一部エロシーンで若干盛り返しはしたものの、全体としてはやはりやっつけ感が拭い去れません。
せめて屍人の設定だけでぶん回してくれれば納得もしましたけれど、そこは本当に惜しいなあ。
もっと屍人に暴れてもらって「実」のルートのエロシーンぶち込めばそれでよかったのでは?どこかで掛け違えたボタンが最終的に致命傷になってしまったなあという一本でした。

2018.05.11