ClosedGAME 感想

毎度毎度の聖少女買いなのですが、今後は少々改める必要がありそうです。冷静に考えれば、近年の数作も無条件購入って出来ではありませんでしたし、惰性って怖いです。

個人的に地雷、クソゲーと呼ばれるような作品に対して結構寛容だったりします。特に前のめりで勢い良くずっこけたクソゲーなんか最高です。そのゲームでやりたい事、詰め込みたい事がしかし、予算や納期、マンパワー、技術力の不足で実現できず、あろう事かあさっての方向にぶっ飛んでしまった、みたいな空回りした情熱の残骸を引き当てた時、下手な良作よりもワクワクします。一方で本作、残念ながら決して良作の部類ではありません。しかも上記のような情熱の成れの果てというわけでもなく、ただそれらしい見てくれを作り上げるために体裁だけ整えたような印象が強いです。

プレイしていて、とにかく話の整合性が取れていない場面が目に付きます。前日に処女を散らしたヒロインと、その翌日また初体験が如きエロシーンを演じてみたり、CLOSEDGAMEのルールがまちまちだったり、直前のシーンまで親子とエロい事してた部屋にまるで初めて入ったようなリアクションを取ったり、まあ酷いものです。プレイヤーとしては逐一醒めます。また、本作のメインであるGAMEについても、根本的な設定のところで失敗しているように思います。ゲームのルールは大まかに以下の3点です。
①フィールド内のセーフティーゾーンに制限時間以内に到着する
②腕に装着されたバングルがビーコンのようになっていて敵と見方に反応する
③上記①~②を4日間繰り返し生存できれば天上人になれる

まず①について、原則的にセーフティーゾーンは全くのノーヒントなので、ゲームっぽさを損ねています。これがオリエンテーリングみたいになっていたり、地図や暗号があればそれらしくなるでしょうが、そのような仕掛けはありません。結局毎回セリーヌとミチコに答えを教えてもらう事になります。
②について、全く効果的に使われませんでした。少なくとも、ゲーム攻略に使われてはいません。2日目以降、見方は全員同じ場所からスタートなので、合流に使うわけでなく、敵のアラームがなっても優柔不断な主人公がどうしようどうしようとやっている間にいつも手遅れと、どうしようもありません。細かいところだと、一定以上近づくと鳴らなくなるのか鳴りっ放しなのかまちまちだったり。

要するに、細かいところは全く考えていないわけです。これはCLOSEDGAME自体に限らず、作中の設定全般にも同じことが言えます。例えば天上界たるカエルム・ウルブスですが、全くと言っていいほど作中での描写がありません。地上生活の描写も極限定的な内容なので、両者の差がイマイチ把握できず、天上人になれるというCLOSEDGAMEのご褒美のありがたみが薄いです。CLOSEDGAMEについても、天上界で放映される映像コンテンツとの事ですが、せめてモブの視聴者出すとかすればいくらでもそれらしくなるでしょうに、全くそれらしさはありません。それなのに視聴率が、盛り上がりがなんて言い出したかと思えば自分の都合でいくらでも例外を作ったりと、チグハグな言動に置いてけぼり食らってる感じがすごいです。特に意味も無くジョージを殺したせいで規定に引っかかって処罰されたりというのも、後からいきなりルール説明でそれが展開に影響したりで、ここまできたらもうどうにでもしてください。一番呆れたのは、バウンティハンターという設定で「ダブル・プル・ザ・トリガー」なんて異名までついてるセリシアを、銃無しでゲームに放り込んだ事です。結局彼女はエンディングに至るまでほぼ銃を握ることなく終えます。完全に死に設定です。ちょくちょく「銃があれば…」なんてぼやく程度が関の山という悲惨さ。

案の定、シナリオも無事に残念なことになっています。端的にいえば一本道です。ヒロインが違うだけでゲームの展開も、エロシーンのシチュエーションも一緒。エンディングは申し訳程度に個別で用意されていますが、思い入れも何もあったもんじゃありません。

しかしながら、用意した素材は上等なのです。SF要素を盛り込んだ世界観、勝ち抜けば天上人に加われるというゲーム、聖少女氏の原画は健在ですし、背景もそれに負けないクオリティに仕上がっています。音楽だって悪くない。この素材の良さはエロシーンで遺憾なく成果を出しています。アダルトゲームなんだから、エロけりゃいいのさで許されるならば、上記の私の愚痴も全て灰塵に帰すところですが、ここまで適当にやるのならむしろストーリーなんて作らないでいただきたい。異種姦とうんこと陵辱シーンを詰め込んだオムニバスにすればいい。エロけりゃいいさはシナリオが本編を邪魔しないレベルの時に言える話です。

結局不満を垂れ流しただけになってしまいました。ただのクソゲーならここまで文句は言いません。しかし本作に垣間見えるのは、先述のとおりそれらしい見てくれを作り上げるために体裁だけ整えればいいやという姿勢です。企画の掘り下げ、製作中のすり合わせ、そういう努力のあとがありません。外壁だけリフォームして、中は築45年のままの家に迷い込んでしまったような、悲しさ、怒りを感じた一本でした。