バトルフォース 感想

そこはかとなく漂うクソゲー臭に魅かれて思わず手を出してしまった本作です。
DL版が先行発売で、パッケージ版の発売はその1ヵ月後。
しかもDL版の方が価格も安いとか、もう勘弁してください。
パッケージ版で集めたいユーザー泣かせの仕様です。

クソゲーだと思ったのに結構ちゃんと遊べてしまうのが非常にがっかりです。
面白いと思って買ったソフトが全く面白くなかった場合、非常にがっかりしますが、クソゲーだと期待してそこそこ遊べてしまうと、それはそれでがっかりするのです。
なんて複雑な乙女心。
あまりにクソゲーに飢えているせいで、私の選球眼も鈍り気味です。
買ったゲームが期待していた程度に面白ければ十分に満足なのですが、クソゲー特有の思いもよらぬわけ分からなさが、たまに無性に恋しくなります。

公式サイトのやる気の無さから漂うクソゲー臭が半端じゃありませんでした。
作品自体とはあまり関係の無い部分ではありますが、やる気の有無とか、どんなものを作りたいのかとか、そういうのが分かると、作品自体の出来もなんとなく見えてくる気がするよう無しないような。
で、本作の場合、ほぼ唯一と言っていい情報源であるスタッフブログが壊滅的でした。
突然「この世界では苗字は漢字、名前はカタカナ表記なんだぜ!」みたいなことを口走ったかと思えば、妄想主題歌の歌詞をつらつら書き出したり(もちろん嘘主題歌です)、メインとなるカードバトルが作中世界ではどれだけポピュラーな存在なのかPRしだしたり……。
製作スタッフが作品設定について熱く語っているとか言えば聞こえはいいのでしょうが、それよりも先に公開すべき情報があったはずです。
発売日とか、価格とか。
結局明確な発売日と価格を公表したのは発売日の10日前でした。
公式ページの購入ページ直通リンクアイコンなんて発売後も工事中でしたし。
この商業をなめきった態度でゲームなんて作ったら、ものすごいクソゲーになるんじゃないかと、ワクワクしてしまったのが運の尽きです。
ついでに言うと、製品ページからURLさかのぼってメーカー本体のページに行ったら、何も無い更地でした。
継続的に作る気は無く、一本売ったら解散しようという意思の現れと勘繰りたくもなります。

さて肝心の中身なのですが、絶対にこけると思っていたカードゲームパート。
ちゃんと動きます。
しかもそれなりに遊べます。
カードゲームなのに、相手にはスタート時からアドバンテージがある等、納得いかない部分はありますが、相手はこちらの動きに対して一定のルールに従って反応してくれる為、感覚的には詰め将棋みたいです。
ラスボスの難易度が異常に高く、どうして裏ボスにしなかったのか、という点を除けば案外よく出来ているといっていいかと思います。

ゲームパートに対し、ADVパート。
こちらは正直物足りないです。
コロコロコミックの販促マンガを継ぎ接ぎしたらこうなるのかなあ、と。
巧みな伏線とか、起承転結とか、まさかの大逆転とか、そういうのとは一切無縁です。
山場といえばラスボスくらいでしょうか。
先述の通り難易度の問題ですが。
勝てばやれるというエロシーンのわかりやすさだけはよかったと思います。
スタッフブログであれだけ語っていた世界観やらこだわりは何だったのかというのは、突っ込まないのが優しさでしょうきっと。

後から聞いた話ですが、ゲームシステム自体は既に他で実績のあるものらしいですね。
実際に本作で制作しているのは、各種カードと適当なシナリオ・グラフィックぐらいということになります。
細かいこと言えばカードの効果等それなりに苦労はしたのでしょうが、0から1を生み出す作業と、1を2にする作業で比較すれば誤差みたいなものです。
つまり、私の勘もかなり良い線いっていたのではないか、ということです。
もしかして、この5bitだけのスタッフで本作を制作していたら、相当な怪作になっていたのでは?正直言ってまともなもの作りそうな匂いがしません。
まあ、下手に無難にまとめるよりよっぽど好みですけれど。
ちょっとあれな本編に加え、『バトルフォース』で検索しているのに、案の定『BALDRFORCE』ばっかり引っかかってしまうあたりにも、駄目な子特有の愛おしさの片鱗を見せつけた一本でした。