復讐の炎は淫獄の闇に燃え 感想

AILの復讐モノは当たりが多い気がする、なんて勝手に期待していた本作です。私がプレイした中だと『脅迫2』『桃華散る』あたりの内容が復讐含んでいた記憶あります。まあ『脅迫2』については、主人公が他人の復讐の被害者になっただけでしたけれども。

主人公が結婚詐欺に遭った、しかも手酷く侮辱までされた。面子も何も丸つぶれ、絶対に復讐してやるあのクソ女に。これはもうヒロインが容赦なく酷い目にあうこと請け合いの、しかも胸がスカッとする要素まで含んだ素敵な話になりそうだと期待していたのですが。どうしたものか、あんまりスカッとしませんでした。復讐果たすには果たしたんです。きっちり制裁も加えてるんです。なのにどうしてか、復讐を果たしたあのサッパリ感があまりないんです。

思うに、容赦なさっていうのが足りていないのかな、と。だって復讐ですよ?仇ですよ?徹底的にぐちゃぐちゃにしてやりましょうよ。そういう気概が主人公に足りていません。そういえば作中でも言われていました、「お人好し」だと。ネット公開についても、あまりやっちまった感はありません。元々が社会の外側にいる詐欺師集団ですから、失う立場とかそういうものが弱いです。例えば『脅迫3』の時のように、ヒロインがアイドルだったら。人気、地位、たくさんのものを喪失します。この奪ってやった感が非常に重要です。奪われて奪われて、どんどん惨めになっていくヒロイン、この転落に興奮します。本作ではその落差がイマイチ足りていません。

展開的に、詐欺師集団を追い詰めていくあたりは結構ワクワクしたのですが、ラストがよろしくありません。冒頭で主人公の妄想中にウェディングドレスを着た綾の一枚画が出たあたり、きな臭さは感じていたのですが、本当にやりやがりました。復讐劇だといっているのに結婚ENDは、私の感覚としてはあり得ません。しかも復讐に協力してくれたメンバーもなんか祝福してますし。おいお前ら、みんなこの女に騙されたんじゃねえのかよ……、というのが私の率直な疑問です。他のエンドでも、お前がどうなっても俺が知ったことか、というより、お前は俺のモノだ、という方向に主人公がトチ狂います。当初の「次の被害者を出さないため」「他の被害者に代わり俺が制裁を」みたいな義憤めいた意思はどこへ行ってしまったのでしょうか。また、この義憤っぽさというのが、主人公が徹底的に残酷になれていないという証左でもあります。この主人公、自分の行動にある程度の正当性をもたせようとする程度にはまともなのです。やっぱり「お人好し」なのです。

今回はパッケージ同梱の大人のおもちゃ無しでした。おまけなんかつけずにもっと儲けてくれという私の思いが届いたのでしょうか?だとしたら嬉しいのですが、おもちゃついてない分いつもより少し安めでした。定価は一緒ですが店頭価格がいつもの3800円タイトルより200円程低く設定されています。(私のいつも行く店では)頼むからもっと商売っ気出してください。

「この画像をネットにばら撒かれたくなかったら……」という脅し文句はこの業界、非常に便利に使われていますが、最初から「公開してやる!」というのは結構少数派です。しかし、あんまり上手く使えていません。画面にニコニコ動画よろしく、視聴者のコメントが流れたからといって、だからどうしたのって話ですし。ユーザー参加型企画とのことですが、正直自分のコメントが流れても全く嬉しくないです。どうせなら、もっとどうしようもない所まで徹底的に怨み晴らす方向に労力使ってほしかったです。そういえば、AILの復讐モノは期待できる、なんて言いつつ挙げた2作品は、どちらも主人公が綺麗に復讐果たすって内容じゃありませんでしたね。『脅迫2』『脅迫3』は他人の復讐のとばっちり、『桃華散る』は復讐失敗+復讐空しい、みたいな内容でしたし。しかも主人公=ヒロインの構図でした。そのあたりで、上手いこと噛み合わなかったのかもしれません。やっぱりゲームに安牌ってないよねと改めて思い知った1本でした。