机乙女 感想

タイトル的に『箱男』を連想しました。
もちろん内容的には全く関係ありませんが。

気になっていた子が放課後の教室で机に拘束されていたら?というシチュエーションのみでミドルプライスを1本作ってしまったという、結構な意欲作です。
なかなか勇気あるなと、思わず買ってしまいましたが、わりと当たりだったように思います。
話の展開にもバリエーションがあり、上手いこと飽きは回避できているのですが、コンプしようとしたら最終的に手当たり次第の総当りに近い状態になりますので、結局作業感は出てきます。
それはそれで、作業ゲー好きな方には堪らない出来です。
このあたりのシステムは、20世紀の雰囲気がそこはかとなく漂います。

前提条件が5パターン存在するという思い切った構成が面白いです。
犯人やヒロインの主人公へ対する好感度が前提条件ごとに異なる為、展開のバリエーションをより広げることに成功しています。
ただし、どの条件がどんな内容というのを理解するのに少々時間がかかります。
ある程度進めると、スタート時にどの条件で開始するか選択できるようになるので、そのあたりからは理解が進むのですが、最初は特定のエンドに到達すると「前提条件が変更になりました」のメッセージが出るのみです。
このあたり、上手いことまとめて欲しかったなあという思いはあります。
例えば、その前提条件でいくつのエンドを見れば前提条件内容一覧みたいなのが開放されるとか。
総当たりで既読スキップなんかやり出しますと、間違いなくどの前提がどんな内容なのか分からなくなりますので。
また、一部でフラグ管理が少々ずさんな部分があり、選択肢の内容とその後の展開に整合性が取れていないことがあります。
普段なら笑って見過ごすところですが、ユーザーにメモを取りながらのプレイを要求するようなシステムを採用している以上は、細かいところまでこだわって欲しいと感じました。
特に致命的なものは無かったと記憶していますが、下手をするとコンプ不能なんて事にもなりかねませんので。

しかしながら、最近は珍しいくらい少なくなった硬派な作品に仕上がっています。
話もエロありきで、しかもそのエロも結構作り込んであります。
内容がタイトルそのままですから、致命的に外す事もなさそうですし。
エロが見たいがために先に進めたいのに進まない、攻略の為のトライアンドエラーに、ゲームしているなという実感が湧きます。
SLGやRPGでなくても選択肢だけでゲームらしさは出せるんだぜ、というADVの原点を見た気がしました。
まさに、古きを温めて新しきを知る、充実した一本でした。