続・殺戮のジャンゴ -地獄の賞金首- 感想

ニトロプラスがDL版を出してくれないタイトルはたくさんありますが、その中でも特に早く対応してほしい2トップのうちの1本です。
ちなみにもう1本は『Phantom』。
ニトロもDL版出さないわけじゃないのに、なんで対応タイトルがまちまちなのかはホント謎。
あるとしたら素材まわりの契約・権利関係ですかね?
そんな理由で埋もれさせていいタイトルではないのですが。
あと、DL版に染まり切った体にディスクレス不可は面倒で面倒で。
というかこれ、ドライブ搭載してないPCに買い替えた瞬間、パッケージ版持ってても無駄ってことですよね?
それはめっちゃ困る。


はじけ切った世界観

さて本作、そうだこれがニトロだという尖り具合がもう大好きです。
銀魂を西部劇とR18レーティングでやったろ! みたいな。
それでいて、こういう荒唐無稽すぎる世界観を、説明セリフに頼らずこっちに伝えてくれる虚淵氏の手腕がまた堪りません。
作品世界への導入で説明セリフ多用するのが猛烈に嫌いなんです、あれは作品世界を壊すものです。

めっちゃ文明が進んだ未来世界なのに主人公たちはそれを使えない、にもかかわらず他の星の荒くれ者たちが入ってくる、そういう不整合をつなぐ理由がしっかり用意されているのが素晴らしい。
「なんで?」って気持ちこそが、対象をより深く理解するための最良の原動力なんです、私の中では。
しかも、表に出てないだけでさらに奥深く世界が広がっているが垣間見える。
やってることは大変にぶっ飛んでるのに、その世界のルールからは逸脱せず整然と進んでいる。
大事なのはこれなんです。


ビッチについて

私がビッチという言葉と初めて出会ったのがいつだったかは定かではありませんが、意識し始めたのは『BLACK LAGOON』を読んでからだったと思います。
守ってあげたい恋に恋するいかにもかわいいヒロインは食傷気味、というかそういうのに魅力を感じる私の脳内回路はとうの昔に死に絶えてしまいました。
なんだ「将来の夢はお嫁さん」って! ワシの稼ぎに依存する気満々か貴様! みたいな。
むしろ率先して私を守り養っていただきたいのですが。

そういうこと考えた時、ビッチって強いんです。
誰に依存するわけでなく、単体で生き延びようという気概を感じます。
一個体で完結しているというか。
だから戦闘能力を有しているのだという説得力もあります。
強いヒロイン(物理)です。
対極の概念となるのが「魔法少女」あたりでしょうか。
自立前の少女が謎の力で変身して非現実的な方法で戦うわけですから。
なぜか彼女たちが「恋に恋する将来の夢はお嫁さん」的美少女であるケースが多いのは非常に興味深い。

そのあたりの議論の決定版が『BLACK LAGOON』のノベライズ版の巻末付録でして、広江×虚淵がビッチに対する持論をぶつけあうという欲張りセットになっています。
二次元コンテンツにおけるビッチ論はここで完結してるといっても差し支えないでしょう。
これさえ押さえておけば、非凌辱系ロープラ抜きゲーのキャラ紹介に「ビッチ」という単語があっても「ふーん、そういうビッチね(笑)」なんて上から目線で受け流せる嫌な奴が一人完成します。
※意訳)ビッチについて語る前に目を通しておくと人生が多少豊かになるでしょう


西部劇について

マカロニウエスタン的なコンテンツはほぼ消費せずに生きてきました。
このジャンルのお約束を網羅していないという意味で、本作を十分にしゃぶり尽くせているかどうかは自信がありません。
ですが、本作が異色の存在であることは確かでしょう。
西部劇を題材にこういうものが出来上がるのは、アダルトPCゲーム業界だけです、きっと。
ニトロプラスだけです、と言わないのはほら、いるじゃないですか『ANGEL BULLET』みたいなの出しちゃう変態集団が。


激熱展開について

銃撃戦ってのはもうそれだけでテンションが上がります。
超科学の未来世界でアナログな銃ってのがまたオツではありませんか!
その時の利害関係で敵と味方が目まぐるしく入れ替わるのも堪んねえですね。
そういうドライな共闘ってカッコよくありません?
昔のことをいつまでもうじうじ引きずる、女が腐ったような女々しいこと言うやつはいないのです。
ビッチとは女の上位互換的概念なのかもしれません(違う)。

激熱といえば、伏線の回収の仕方が逐一熱すぎてどうかしてます。
黒のフランコの正体にまつわる噓とホントの話だったり、偽物が本物になる瞬間だったり、6ドルからの金貨6枚のくだりだったり、ああ、このシーン、この瞬間のために積み上げてきたんだな、みたいなのが感じられてホント素晴らしい。
こんなもん手放しで喝采するしかないじゃありませんか!


おわりに

イライザの顔芸の話とかまだたくさんあるのですが、余白の都合もありますのでこのあたりで締めさせていただきます。
残念なのは、虚淵氏はもうこっちには帰ってこないであろうでこと。
絶対アニメ脚本の方が楽しいでしょうし、好きなもの書くならラノベの方がやりやすいでしょうし、理由がないんですよね。
日陰の業界の辛いところです。
だからせめて、冒頭述べたようにDL版だけホントお願いします。
FANZA GAMESが頑張ってDL版出た暁には、ガンガン拡散したい一本です。

2021.04.11