西武ロードリスト蘭のチップチューン地獄 感想

DLsiteの半額セールで、なにやら意味不なタイトルを発見。
アホっぽい。
こういうわけわからんの好きです。
同人の醍醐味です。

正直チップチューンにはあまり興味ありません。
確かにあの電子音ピコピコは嫌いじゃありませんが、あくまで打ち込みのニッチバリエーションの一つです。
どのジャンルにも縛りプレイが好きな変態がいます。
また、あの音自体が記憶のノスタルジーな部分を刺激してくれます。
まあ、これはこれで良いけど、別にこれじゃなくても良い、みたいな。

ただし、チップチューンバトルは別です。
打撃、投げ、関節技とチップチューンを組み合わせた新しい格闘技って、まあ意味分かりません。
少なくとも常人の発想ではありません。
実に素晴らしい。

またグラフィックが良い。
こんなファミコン時代のロストテクノロジーどこから拾ってきたのかと思えば、普通にデジタルで描いた絵をわざわざ変換してドット画に落とし込んだそうな。
アホですね。
洒落た表現をするならば、これこそ粋というやつです。

『STEINS;GATE 変移空間のオクテット』が似たような事してましたっけ。
あれはファミコンじゃなくてDOSテイストでした? パッケージまで凝ってて感心した記憶があります。

ゲームシステムも、行動を選んでさらにその対象を選択するという、やたら選択の多い昔懐かしいトラディショナルな形式のADVを採用。
ノスタルジーの何たるを押さえていてこれも実に良い。
ある種心地良い面倒臭さ。

ただしシナリオが短い。
すっごい短い。
せめて1時間半、欲を言えば2時間ちょいくらい、このノスタルジー空間に浸りたかったという思いがあります。
30分かからず終わってしまいました。
おおい! 諸々の因縁はどうなった! そのロボおやじさん違うんか! みたいな部分を放り投げて終わってしまいました。
あと、右左左セレクト押しても何も変わらんけど、これは何が起きているのでしょう。
放置プレイ?

新谷良子ボイスは良いです。
非常に良い。
あの気だるげな感じ堪りません。
ちょうどamazon primeで『フリクリ』を見直した直後だったのでなおさら。
個人的には「つらいです……」と「連打しろぃ」が好き。
多分刷り込み効果。

ただ、プレイにエミュレータ環境必須というのは良い面悪い面あると思います。
チップチューンのアングラっぽさ、この平成も終わるご時勢にファミコンなんて昭和の遺物を持ち出すという感覚を強調するという目論見ならば成功。
怪しげなツールの配布場所を探してこなければならないという意味では失敗。
単純に面倒ですし、エミュレーターという単語自体受け付けない宗派の方は入り口で軽くセルフ異端審問の憂き目にあいます。
かく言う私も、DLsiteから落としたzipファイルを解凍したら、いきなり.NESなんて見慣れない拡張子が現れて若干困惑しました。
商品紹介ページはよく読みましょう。

おまけ、というかもしかするとこれが本来的な製品部分なのでしょうか。
サントラが同梱されています。
先述の通り、正直チップチューン自体にはほとんど興味が無いので、製作者には申し訳ありませんがあまり一生懸命聴いてないです。

製作再度的にはゲームの方がおまけだったのかもしれませんが、私はそっちの方が目当てだったので、なんかおまけ+おまけのセットみたいになってしまいました。
ゲーム部分の企画自体はすごい好みなのですが、若干の食い違いが惜しいなという一本でした。

2019.01.04