ランス・クエスト 感想

この業界においてランスシリーズっていうのは歴史の生き証人といいますか、老兵未だ衰えずといいますか、何かすげえシリーズです。
なにせ古典にして最新ですから。
私がオナニーのオの字も知らない時代、すでにランス君は鬼畜戦士だったのです。
やっぱりすげえとしか言いようがないです。
まあ私としましては、ランスシリーズは5Dからなので特に深い思い入れがあったりとか、そういうわけではないのですけれども。

前作から約六年。
開発スパンがコーエーじみてきたなと感じたのはきっと、前作が戦国ものだったからでしょう。
聞いた話では5Dも同じくらいスパン開けてたみたいですし。
今回は6のシステムに手を加えたようで、私のようなRPG嫌いでもなんとかクリアできるようになっています。
どうやらある程度の低レベルクリアも可能みたいですが、私は最終的にはレベルでゴリ押ししてしまう事が多いので。
そのせいで時間がやたらとかかるからRPG苦手なんです。
下手だからといわれればそれまでですが、100時間以上もモチベーション保つって結構しんどいですよ?しかもその時間のうち大半がレベル上げ。
その点本作は、ストーリーの進行段階での適正レベルコントロールが上手くなされているので、私も不毛な経験値稼ぎに時間を割くことなくプレイできました。
具体的には、キャラクターのレベルを上げすぎると「敵弱すぎ」の表示とともに取得経験値が割り引かれるという、よく考えたら確かにそうだよねって仕様です。
またクエストごとに難易度の表示がありランス君のレベル目安になるため、これも時間削減に役立ちます。
基本的に進行状況に対してパーティーのレベルが高すぎるということが起きないので助かります。
本当に助かります。

しかしながら、作中でのレベル概念が毎度ながら実に秀逸だと思うのです。
特に「才能限界」と「怠けていると下がる」という二点。
生々しいというかなんというか。
人間は生まれながらに不平等で、努力が皆等しく報われるわけではない。
知ってはいましたけれど、ゲームでやられると結構くるものがあります。
主要キャラの才能限界はやはり高めに設定してありますが、それでも最後まで一緒に戦えるわけではないので、どうしても「使えないキャラ」になってしまうのが出てきてしまいます。
思えばランスシリーズに限らず、アリスソフトのゲームには様々な残酷さが散りばめられています。
本シリーズでいえばこの才能限界もありますし、ストーリー上省かれていてもよくよく考えればこの人たち救われないなあって展開も多々あり、仲間であっても割とあっさり死にます。
そういう「面白くない」部分があるからこそ、やりたいようにやるランス君に爽快感を感じるわけですし、冒険のワクワク感が引き立ちます。
ただただ幸せで楽しいだけの時間っていうのはひたすらに甘いだけの砂糖菓子みたいなもので、苦みや塩辛さがあるからこそ味が引き締まるのです。
また「怠けていると下がる」。
同じキャラクターを何度も起用すると、前作中で50以上まで上げたレベルが何故また1から始めなければいけないのだというRPGのゲーム構造的な問題と直面しますが、人間の現実的なところとゲーム中のファンタジー空間の中で、この設定が不思議な折り合いをつけています。

ランスワールドにおける歴史はかなり細かく作り込まれている一方で、例えば登場モンスターなどところどころ見ていけばかなり(良い意味で)適当です。
登場人物が自身のレベルを自覚しているというある種のセルフパロディに似た雰囲気と合わせて、これらが奇跡的なバランスを保ち、レベル概念に関しても、実用的な部分ギャグでやってる部分が合わさって絶妙な味わいを醸し出しています。

さて肝心の、前作で氷漬けにされてしまったランスシリーズ(正?)ヒロイン我らがシィルさん。
残念ながらどうにもなりませんで。
まあ目的があるというのはいいことです。
シィルのために奮闘するランス君も悪くない。
全部が全部思い通りになったらゲームやる意味なんてないですからね。
ただ、シィルの抜けた穴は大きく、特に序盤の安定した魔法要員の不足は結構しんどかったですし、何よりあの健気な娘がいないという、それだけでかなり堪えました。
また彼女が封印中なせいかどうかは分かりませんが、人気投票で圧倒的な力を見せつけたリセットちゃん誕生から明らかなように、ランス君の避妊魔法も効力を失ったようです。
エンディングの後日談では複数名めでたく懐妊な雰囲気でしたし。
もしやランス君が血縁で世界を統べる日も近いのでは?

なんだかんだで現在三週目です。
ダラダラ続けて年内には終了させたいと思います。
まあ正直なところ何周も繰り返すほどの吸引力を持った作品ではありません。
印象としてはお祭り感覚というか、そういった感じが強いです。
サブクエスト飛ばしたら相当短くなるでしょうし。
過去作品のキャラを大量に出して、それぞれに後日談なんてやったのは、一旦キャラを整理する目的があったでは、という邪推もしました。
これもしかしてリストラなのか、と。
だからお祭りっぽくしたのか、と。
主な目的は話を進めることではなく、その下準備をするところにあったのでは、と。
きっと考えすぎでしょうが。

どうも大帝国然り、アリスソフトのシリーズもののタイトルは期待が大きくなりすぎて良くありません。
前提として、寝る間も惜しむほど熱中とか、気が付いたら夜が明けていたというレベルのものが出るのだと思ってしまっている自分がいます。
期待するのが悪いとは言いませんが、それでガッカリして文句言うのはお門違いです。
実際十分遊ばせてもらいましたし、空いた時間に少しずつやるにはすごく向いている作品だと思います。

残念ながらシィルを助けることはできませんでしたが、元々このシリーズ明確な目的がないんですよね。
しいて言えば「世界中の美女を手に入れること」とかでしょうか。
ですから今後シリーズを展開していくにあたり、「シィルを助ける」という目的でどこまで引っ張るのか楽しみです。
次回作を、期待しすぎず待ちたいと思います。