女体狂乱プリンセス 感想

気が付けばわるきゅ~れの看板になりつつある感がある女体狂乱シリーズ。
いや、これだけやってて「つつある」ってのも失礼な話でしょう。
ロープラ帯タイトルでよくあるパターンの使い回しができなくて生産性は悪いだろうに、こうして4本目を出してくれるのはありがたい限りです。


今回の女体改造

さて本作、毎度のことながらアホです。
しかし残念ながら、シリーズ通じて改造の理由が一番まともっぽく思えてしまう、これはこれでショッキング。
私の記憶が確かならば、過去の改造理由が「不治の病の治療」「爆死の回避」「カオスフェロモンの獲得」でしたっけ?
しかも、なぜ女体改造をするとそれらが達成されるのかは不明という、荒唐無稽な現象に対して荒唐無稽な理由を掛け合わせて勢いでごまかしていく、ある種ゆでたまご(漫画家の方)理論の上位互換です。
そのへんふまえると今回の「変態王子に見初められる肉体を手に入れるため」という理由のなんと合理的なことか。
同じ不条理系でも、とりあえず説明する姿勢だけ見せるのが『ボボボーボ・ボーボボ』との違いです。
そこに説得力があるかどうかはさておいて。

その反動なのかは分かりませんが、今回の改造はゴリ押し感が若干弱い気がします。
「いや、その理屈はおかしいだろ」とツッコみたい気持ちが過去3作よりも湧きません。
まあお察しの通り、それでも通常の何倍かはあるのですけれども。
過去3作が何十~何百倍あるのが悪いです。
きっと王子が想像を絶する変態で、これくらいしないとダメなのかもな、みたいな「そういうものなのかも」という謎の説得力があります。
だって、わるきゅ~れが言う変態ですよ?
我々の感覚が通用するはずもありますまい。


今回の狂乱具合

ぶっ飛んではいるのですが、尖り具合も落ち着いてきたかな、みたいな円熟味を感じます。
シリーズとして新しいシチュエーションやテイストを盛り込みつつも、過去作の改造を踏襲しているというか、新しい境地を開拓しにいってる感は薄れているというか。
もちろん、新しくわけわからないことやってるエロシーンはあります。
しかしながら、私も本シリーズにかなり慣れてきていますので「どうせまたわけわからないことやってくるぞ」と身構えてしまっている分、想定外のパンチに対処ができている状況というのもあるかもしれません。

今回は女体改造のビジュアル的な部分よりも、テキスト部分でのインパクトの方が強いです。
エロシーンのぶっ飛び系セリフ芸がわるきゅ~れはさすがの貫禄、安心と信頼のクオリティで、これはホントに特殊技能なのだと思わざるをえません。
中途半端にやると終始スベリ倒すというリスクと背中合わせですから、普通のエロテキストを無難に書き上げる方が何倍も楽ですよね。
あとは「女体改造界ではポピュラーな改造」とか、パワーワードの頻出度は前作の1.5~2倍くらい(当社体感値)ありました。
サカキ医師が本気で言ってる感じが伝わってきて、笑ってはいけない女体改造みたいな趣です。
こちらについては、前作プレイ時に「パワーワード」という概念が私の中になかったことも影響しているかもしれません。
先述のぶっ飛び系セリフ芸は、くるぞくるぞと身構えているのでなんとかなるのですが、このあたりのパワーワードは予測不能なタイミングで差し込まれるので、気を抜いた瞬間に食らうとアウトです。
絶対におかしいセリフをめっちゃ真剣に当たり前の話っぽく放り込まれるとホント危険。


おわりに

女体改造施術の基本に立ち返った感と、『爆ぜ乙女』で常人の理解の外側へスピンアウトしていってしまった感じの中間くらのインパクトでしょうか。
女体改造のオーソドックスな部分から、過剰に壮大な末路まで網羅していて、本シリーズが初めての人もしっかり理解できる作りです。
ナンバリングがないのもそのへん意識してるのかと思いましたが、逆にナンバリング入ってるのって『女体狂乱3 カオスボディ』だけなんですね。
これはクソどうでもいいけど意外な発見。

しかしながら、前作から6年ですか。
冒頭で「わるきゅ~れの看板シリーズ」みたいなこと書きましたが、看板ならそんな間があかないですよね。
どういう理由で沈黙していたのか、そしてどういう理由でこの令和の世の中に湧き出してきたのか、背景が非常に気になります。
個人的には好きなシリーズなので、よほど売り上げが切ないとかでないかぎり、もうちょっと出てくれると嬉しい一本でした。

2020.11.23