魔導巧殻 ~闇の月女神は導国で詠う~ 感想

久しぶりにエウシュリーの作品を最後までプレイした気がします。
『姫狩りダンジョンマイスター』以来くらいでしょうか。
なんだかんだ言いつつ買うだけ買って、結局積んでることが多いエウシュリーと私のここ数年間です。

正直言いまして、1周に40時間50時間かかるようなRPGにルート分岐なんかがあると、もうやる気おきないのです。
その点で本作のボリュームは実に丁度良かったです。
初回こそ操作に慣れるまでに時間がかかりましたが、2周目以降は体感的に5~6時間くらいだったと思います。
既読のテキストスキップしたのも大きかったです。
ただし、ADVパートとSLGパートとで切り替わるたびにリセットされるというバックログの使い勝手の悪さがあるため、あまりテキストをとばすとどのイベントを起こしたのか確認できなくなり、フラグ管理等が非常に面倒になります。
特に自勢力ターンの冒頭や、敵勢力の行動ターン中に起こるイベントは既読スキップをかけっ放しにしていると確実に見逃します。

周回プレイに対応しており、ユニットデータ等ほぼほぼ引き継ぐことが出来ます。
ですので、初回プレイをEASYモードでクリアさえしてしまえば、あとはやりたい放題になります。
ただ、それではただの敵勢力蹂躙ゲーになってしまいますので(それはそれで面白いですけれども)、敵勢力の強さが三段階、ターン経過に伴う敵勢力レベル上昇のON/OFF、引継ぎ内容の選択と、難易度を細かく調節出来るようになっています。
これプラスである程度セルフ縛りプレイしてやれば、わりと飽きずに楽しめます。
たまに一切の縛り無しということで、何周かクリアしたデータを引き継ぎフルで一番低い難易度で解き放つと酷いことになります。
南アメリカに攻め込んだスペインってこんな感じだったのかな、と。
歪竜と魔道戦艦隊による蹂躙蹂躙また蹂躙。
ここまでくると敵が不憫ですらあります。
ただ、蹂躙プレイは途中から完全な作業と化しますので、飽きが早い人は向かないかもしれません。
また、戦闘システムが非常に単調で、これが作業感に拍車を掛けます。
戦闘に参加可能なユニットが3ユニットのみで、明確な役割分担もなく、戦略性というのが明らかに足りていません。
早い話が火力のみの殴り合いです。
一応攻撃防御が物理魔法に分かれてはいますが、それでも2つだけですし。
属性相性なんてのもありましたが、戦局を左右するほどウェイト重くないですし、エウシュリー恒例の相性表ですので別段新たに労力割いているわけでもないですし。
できるならもう少しRTSを研究してほしかったところです。

シナリオのバランスがいいです。
単体で見れば特筆すべき点はありませんが、あくまでSLGパートの付随物だと考えると、非常に丁度いい分量だと思います。
だってあんまりにも重厚で長大な物語展開されたら、次のターンに何するのか忘れてしまいますもの。
次の行動を忘れない程度にスッキリし、次の行動を見失わない程度にしっかり展開もさせているという、このあたりはさすがに作り慣れているなと感じます。
ただし、シナリオが全て見られるのは真エンドのみです。
そして真エンドに辿り着くにはかなり条件が厳しくなってますので、バランスが良いというのはあくまで真エンドまで行けた場合の感想になります。
その他のエンドはブツ切れ感半端じゃありません。
なにせ、魔道戦艦を完成させよ!なんて言われているのに、そっち放置して敵勢力制圧すると、帝都結晶化やらなんやら全て放置のまま平気でエンディングに突入したりしますし。
初回のエンディング時には本気で「えっ!?」ってなりました。
ちなみに、真エンドへの到達条件はオプションから確認することができます。
ノーヒントは正直無理です。
他に覇王ルートがあり、こちらはこちらで完結したエンドになります。
敵勢力を制圧してはヒロインを娼婦へ落としていくのがとても楽しいです。

やはり陣取りSLGのエロはこうでなくては。
陣取りSLG初めてのくせに、さすがエウシュリーです。

結局は戦闘パートが足引っ張っていた印象が強いです。
産出資源を見つつ制圧し、建造物を配置していくSLGパートはそれなりに面白いです。
決してシステム的に問題があるわけではありません。
ただ、プラスにも作用していないだけで。
他がそれなりに優秀な分、一個だけギリギリ及第点だと相対的に悪く見えます。
ですので、同様のシステムでの次回作があるならば、まずは戦闘パートの改良が必須でしょう。
そこが改善されるなら、多分積まずに最後までやると思います。
エウシュリーは途中までやって投げるか開けずに放置というのが昨今の私とエウシュリーのスタンダードになりつつありましたので、今後の展開次第では私たちの関係改善の第一歩になるであろう一本でした。