脅迫3~遙かに響く光と影の淫哀歌~ 感想

脅迫シリーズのナンバリングということで、これはまあ買わざるを得ないなと、一片の迷いすらありませんでした。
あとパッケージがデカいので、今回も何か大人のおもちゃでも入っているのかなと思ったら特に何も入っておらず、ちょっと肩すかしを食らった気分。
まあ公式サイトにも予約特典にサントラが付くとしか書いてなかったので、私が勝手に先走っただけです。
内容で勝負、大変結構じゃないですか。
正直特典ばっかり付けられてもいろいろ困りますし。
特にレジでの受け渡しとか。

さて本作、想像以上に物語が作り込んであります。
企画のリバ原氏曰く、最初にあったのは「芸能人激似AV女優が実は本人だったら」というワンアイデアだったらしいので、そのシチュエーションを持ってくるためにいろいろ苦労したのでしょう。
脅迫のタイトル通り、主人公は金銭的に、立場的に脅迫されることになります。
ですが社長があからさまに怪しすぎて、プレイ序盤から既にまあ裏で糸引いてるのは社長だろうなと予感はしていました。
ただ予想外だったのは、社長にとってこっちの脅迫はメインじゃなかったということ。
分かりやすい隠し事をユーザーに予定通り暴かせて満足させ、その裏で実は……という目論見どおりに私は嵌ってしまったようです。
社長の真の目的に全く気がつきませんでした。
もちろん、徐々に明かされていく過去など、そのあたりを知らないと気が付きようがないというのもあるでしょうが、よくよく考えれば自社所属のアイドルをAVに出演させるメリットが社長にはないんですよね、普通に考えれば。
その普通の思考が、これ社長が黒幕だろうと気付いたところで完全に満足し、ストップさせられていたことに後から気付き、非常に悔しい思いをしました。
私の理解力が乏しいだけだったのかもしれないというのは否定しませんが。

肝心のエロシーンですが、そっくり女優系のAVってこんな感じだよね確かに、と思わず共感してしまいました。
それでいて、実は本人が否応なしに出演させられているという事がプレイヤーには分かっていますから、その悲壮感がたまりません。
男性をAV撮影を通してしか経験していないアイドル。
これだけで興奮度3割増しです。
これがあるからこそ、「そっくり女優系のAVってこんな感じだよね確かに」程度のエロシーンであるにも関わらず、それ以上の実用性を提供してくれました。
ですが、このAV撮影という形のシーンは全体の4割ほどしかなく、また内容に関してもほとんどは普通の、探せばいくらでも見つかるよねというプレイにとどまっているため、ちょっともったいないなあと感じました。
そのあたりのバランスも非常に難しかったのではないかと思います。
あまりAVシーンばかりにしてしまっては単調になりすぎますし、あまりにやりすぎなシーンになるとAVらしさが損なわれます。
AVという形をとって半ばオムニバス形式でエロシーンを供給するだけのソフトにならず、かつAVらしさは残さなければならない。
それを考えるとこのあたりが妥当なのかなあ、と。
AVシーン以外は芸能界という華々しい世界の暗い部分といいますか、そういうことも行われているんじゃないかといかにも一般人が妄想するような世界が広がります。
例えば枕営業であるとか、性を使ってライバルを蹴落とすだとか。
芸能人として仕事を取るために、と考えると、こちらも一種の脅迫なのかもしれません。

プレイ後の印象としては、物語と凌辱、イマイチどっちつかずの作品だったなあというのが強いです。
物語は各人の思惑がそれぞれに絡み合うような形にはなっていますが、結局全体でみると、真相をルートによってどれだけ明らかにしていくか、ということになるので、真相がわかってしまうとそれ以降がどうにも間の抜けた感じがしてしまいます。
特に最初にEND1を見てしまうと辛いと思います。
エロシーンに関しては、印象に残るシーンがないというのが残念でした。
【チーム・Riva】ということで、そこまでやるかというエグいシーンを期待していたため、少し拍子抜けといいますか。
プレイ中は感じたエロさを、おまけモードのシーン回想では何故か感じられないという。
おそらくシーン単体ではなく、前後の文脈、キャラクター同士の関係性といったところにエロさの源泉があるせいでしょう。
それにしてもシーン自体のエグさがちょっと足りないなというのは否定できませんが。

やはり物語と凌辱シーンの両立を目指して、どっちつかずになってしまった印象は強いです。
特に前作以上のものを期待している方には少々物足りないかもしれません。
ただ、そっくり女優としてアイドル本人が出演するというシチュエーションの悲壮感、隠された真実が徐々に明らかになる過程というのは非常に刺激的でした。
ナンバリングをどう受け止めるかによって印象が大きく変わる一本だと思います。