ヘンタイ・ラビリンス 感想

なんかしれっとアリスから発売されていた同人ソフト。
いよいよもって同人とは? みたいな感じになってまいりました。
だってこれ、エンジンとか開発環境、声優のキャスティングまで、普通にアリスソフトの後ろ盾ですよね?
販売も普通にDLsiteですし、同人とは……?
なんて興味がユーザーたちにあったのかどうかは知りませんが、結構売れてるみたいですね、DLsiteの販売数見たら。
アダルトPCゲームが販売本数を公表しなくなって久しいので、一周まわって軽く新鮮です。
とはいえ、じゃあそれだけ世の皆々様にウケるように作ったかというと、そういう媚び方はしないのがアリスイズム。
アリス的ロープラとはまた違う味わいに仕上げてきました。

システム的なところ

さて本作。
ベースは完全に商業ラインなので、足りない部分があっても「まあ同人だしね」で許容するつもりは毛頭なかったのですが、全くの杞憂でした。
普通に気合入った作りです。
システム的には3Dダンジョンっぽいのですが、マップの方でしか移動操作できないってのが独自の味付けで、これが何らかの仕様の制約によるのか狙ってのことなのか。
この手の3Dダンジョン的な仕組みならアリスでは20年前に実装できているので、恐らくは狙っているのだと思います。
ただ、ゲームの進め方的にはこれがすっげえ面倒で、マップの全体像が見えないものだからまあ迷う迷う。
普通に考えれば、快適にプレイさせるために何とかしようと考えそうなものですが、ちょっとした不自由さがあった方が面白くなったりするのがゲームという媒体の不思議なところで、昔からアリスってそういうのすごい上手いんです。
収集しなくてもOKな宝箱とかイベントとか配置してるので、やはり意図的なものでしょう。
というか、迷宮を迷うこと自体は問題ないのです。
それをするにあたって、マップをポチポチポチポチ延々とクリックし続けるのが辛すぎました。
これだけはホント何とかしてほしかったところです。
戦闘は、うん、やっぱアリスで見たことあるやつ。

CGの物量はすごい

上記のように、システム周りはアリスのやつを流用してカスタムで上手いことやってる感じなのですが、その分のリソースがグラフィック周りに投入されている印象です。
単純にCG枚数もですが、迷宮内に投入されている背景量も強烈。
基本的な素材パーツを組み合わせることでバリエーション増やしているとはいえ、それでも相当な量です。
他作品の流用かとも一瞬思いましたが、こんな毒にまみれたメルヘンみたいな雰囲気の背景なんて他にはないでしょう。
加えて、お姉さんの変態バリエーションがあれだけあるわけですよ。
CGリソースだけで、そこらの同人CG集を軽く上回っているのでは?

TrueEndがあったらしい

実は本稿、1点お詫びがありまして、TrueEndは見れていません。
最後までやって、なんかイマイチ煮え切らないエンディングだし、CGは全部埋まらないしで、不本意ながら攻略サイト見に行ったんですよ。
そしたら、お姉さん他の野郎にヤらせずに最後まで行けばTrueとか言うじゃありませんか。
うわマジか、最初からもう一周か、までは良かったんですけど、完全独占だと「バイク」とかに変態できないことに気づきまして、後半のプレイがとりあえずバイクで全体殴るっていう戦法だった私は途方に暮れてしまったわけです。
あの面倒なポチポチポチポチをもう一回やって、かつ取りうる新たなパターンを探してまで見たいほど、TrueEndへの欲求はありいませんでした。
だいたいの状況は分かったしもういいかな、ってのもありました。
どうせあれでしょ? ちょっと雑な『霞外籠逗留記』みたいになるだけでしょ!?(暴言) みたいな。
追加で、Trueルート固定パッチとかでたらやるかもしれません。

おわりに

アリスソフトが何を考えているのか非常に気になります。
価格帯的にはすでにロープラやってますし、というか第一人者的なところありますし、従来のアリスと雰囲気が全然違うってのも別に別ブランドで良いんじゃない? って話ですし、というかアリスブランドで昔実写タイトルとかBLブランド作ったりやってるわけですし、わざわざ同人っていう建前でやる理由ってのがどこにあるのでしょうか。
クリエイターの個性、作家性を強く押し出す、なんてことも言ってましたが……。
個人的には、これだけDLの流通環境が整って、資金調達の方法もいろいろある今、商業じゃないとできないことは何なのか、商業と同人の線引きってのは意味があるのか、そういうことも考えていたところだったので、この新ブランドの動きについては今後も注視していきたいなという一本でした。

2020.08.15