プラネットドラゴン 感想

信じていました内藤騎之介氏。
その古城に勇者砲あり』の時は本気で焦りました。
無事帰還となった本作ですが、『悪魔娘の看板料理』から約一年ぶりなので、冷静に考えればそこまで驚くような間隔じゃないな、と。

システム的に宇宙版『大航海時代』を、心のどこかで期待しておりましたが、どちらかといえば犬と猫の『ムーンライトバスケット』をダウングレードさせた感じでした。
あんまり戦略性の無いまったり交易です。
基本的に赤字にはなりません。
一部マップは装備を何とかしないと進めなくなったりしますが、ターン制限が存在しないのでまったりとお金を貯めて装備を整えてからのリトライを繰り返せば、いずれ突破は可能です。
SLGというよりは作業感の強いADVといったほうが適切でしょう。

宇宙船のカスタムも基本まったりです。
良いエンジンを積んで、交易で稼ぐなら格納庫を、旅客で稼ぐなら客室を増設していけばいくらでもお金が溜まりますので、特に悩んだりする必要はありません。
航路上で海賊に船を破壊されてもノーペナルティで復活します。
特定イベントで敵船の攻撃が激しくなったら、そこで初めて戦闘用の装備を考えるくらいで十分です。
お金さえ貯めておけばどうとでもなります。

宇宙船の外観はもうちょっと凝って欲しかったところです。
いやテトリスかよ、というのは多くのユーザーのツッコミでしょう。
ツインドリルアームなんてのは、是非とも船に搭載されている様を見たかったというのが正直なところです。

イベントは、普通にやると大体回収できません。
回収する前に次の依頼が舞い込んできます。
そして次の依頼に進んで話を進めたほうが面白そうなので、どうしてもイベント回収が後回しになります。
そのあたり製作側も確信的だったと匂わせるのが周回ボーナスです。
二周目以降にかつての「○○モード」のような設定はなく、単純に所持金と頭脳球追加があるだけなので、事実上のイージーモードです。

イージーモードで思う存分イベントを回収してくれという意味合いなのではないかと推察されます。

案外とストーリーが楽しめました。
特に最後の惑星ファーザーから地球へ至るながれは、不覚ながらワクワクしました。
といいますか、一周目はリディとアクア、黒の個別イベントをほとんどすっとばして進めてしまったので、無駄にテンポよく進行してしまったせいもあります。
二周目に思う存分イベントを回収しながらだらだらとイージーモード状態で回していたら、まさかの3000ターン突破という。
我ながらよくやると思います。

思うに、内藤氏のゲーム作りへの情熱が枯れてしまったのではないかと。
一方で、ゲーム作りのスキルはあるものですから、そこそこで作りこみを止めてリリースし、そこそこの小金が稼げれば良いじゃない、みたいな印象を受けます。

宇宙船のテトリス式カスタムもですが、作中で説明がなされている水・食料・燃料の無償供給も、そのあたりの概念が入ってくるとゲームバランス調整が面倒になるから、なんて見方ができます。
トラブルマスで戦闘に敗北してもノーペナルティなのもそうですし、基本的に交易品をどこへ持っていっても利益を出せるというシステムもそうです。
極論すれば、ターン制限を廃して周回という遊び方を排除したのも、そのあたりのバランスデザインが面倒だから、とさえ取る事ができます。
まあこれについては、BBシリーズのように一周完結の作品もあるので一概には言えませんが。

もちろん、内藤氏にインタビューをしたわけではなく、あくまで私が受けた印象の話ですから、本当に情熱が枯れたのか、今回たまたまこういう出来だったのか、実態としてどうなのかはまったく分かりません。
しかしながら、10年以上も遊ばせていただき、愛着はかなりあるだけに何とかもう一度、何故あんなに熱中したのか後になってみればよく分からないあの中毒性に、再び出会えればと思う一本でした。

追記
タイトルは『プラネットドラゴン』ですが、どのあたりがドラゴン?

2016.07.02