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売淫令嬢 ~周芳院櫻子の罪穢~ 感想

没落貴族、なんていうと高慢ちきな女の境遇が180℃ひっくり返ってなかなか素敵なことになるイメージが湧きますが、あの高慢ちきさってよくよく考えると貴族っていうより成金のそれですよね。
どのみち、あの腹立たしい鼻っ柱へし折ってやるのは気分がいいものです。
さて本作、前印象としては没落貴族な感じでしたが、実際プレイしてみるとどうも違いました。
まず没落してません。
ヒロイン父の会社が経営的に怪しくなったので、ヒロインが体を売り融資を勝ち取るという展開の為、家自体は持ち直します。
女学生が一人体売ったくらいで勝ち取れる融資枠で持ち直せる伝統ある大企業っていうのも結構謎ですが。
また、成金ではなく、本当にいい育ちのお嬢様なので、あの鼻っ柱をへし折ってやる爽快感はあまりありません。
その分、悲壮感が漂って、それはそれでまた実に良いです。

公式サイトを見るに、ヒロインの学生時代とそれから十数年後の二部構成を匂わせるような成長後のグラフィック載せてるくせにエンディングでちょっと出てくるだけじゃないですか。
『私の知らない妻の貌』みたいなの期待してました。
あとはお父様が、ルートによって実は黒幕だったり、変わり果てた娘の姿に素で驚いていたり、妙にちぐはぐ感がありました。
END7のあのリアクションがどうにも解せません。
あれは、娘に売春をさせるように仕組みはしたが、まさかここまでえらいこっちゃになっているとは、という驚愕だったのでしょうか。
それくらいでないと説明がつきません。
もう少しそのあたり混乱が起こらないような展開にして欲しかったなあと思います。

エロシーンはとても良かったです。
私がAILに求めているのはこういう容赦ないやつです。
ピアスとか刺青って他所ではあんまないですよねえ。
ああいう取り返しのつかないところまで酷いことになってしまうのが、とても興奮します。
身体改造って分りやすい一般社会からの逸脱ですから。
もうまともには決して生活できないという烙印を望まずして押されてしまう、この転落が良いのです。
また、学園長の卑劣っぷりも良いです。
陵辱モノに出てくる陵辱者にしては話の通じる人間と見せかけて、ただの真っ黒な人でした。
脅迫方法が私個人的に気に入っています。
売春に加担すれば融資枠を取付けてやる、あくまでこっちが助けてやるよっていうスタンスなんです。
そして妊娠させる、と。
作中では一発でご懐妊でしたが、あのお父様のことですから、当たるまで何回もやらせたでしょうね、これだけの融資では会社を持ち直せない、とか言って。
お腹の子供が自分では外せない時限爆弾となって、また助けてやるよというスタンス。
うちの医者に堕胎処置はさせてやるから代わりに売春を続けろ、と。
生もうものなら退学の挙句、父に全てが露見。
ポイントは、一定期間耐えさえすればちゃんと開放してもらえそうってことです。
確かに、お腹の子さえ何とかすれば晴れて自由の身です。
この、もう片方の選択肢が潰されている二択が実に卑劣です。
「ネットにこの写真をばら撒かれたくなかったら~」というお約束のアレと違い、本当に開放されそうな気がしますのでまた性質が悪いです。
こういうところまでしっかり詰めて作ってくれるのでAIL好きです。

馬術、いいですね。
衣装がエロいです困ったことに。
『凌母』の時にもありましたけど馬術衣装、やはりこいつは堪りません。
男装の麗人に近いかっこよさがありながら、ぴっちり張り付いた曲線部の艶かしさ。
しかもこの人ら馬に跨って片手にはムチですよ。
ここから自分がムチ打たれる側になり、跨る馬を三角木馬に変え、愛馬との獣姦に至るまでは完全に規定路線です。
分っていましたけれど、やっぱりやるんですね。
三角木馬の時に馬術衣装着てたらなお素晴らしかったと思います。

自主規制やら何やらで、あまり過激なものが作りにくい昨今です。
そんな中、3800円で商業ルートにこんな作品を乗せてくれるからAIL大好きです。
唯一文句を言わせていただくならば、TENGAegg要りません。
アレのせいでパッケージは無駄に大きくなるし、せっかく低価格帯で作ったのに余計なコストかかってしまいますし。
ただ、TENGAeggについてはお験し用の無償供給なんじゃないかと邪推。
コカコーラがマクドナルドにコーラを無償提供しているのと同じノリで。
正直、TENGAeggが付いてるから買うわ、って方いらっしゃるのでしょうか。
無駄に箱をでかくする時代に別れを告げてコンパクトに、余計なところにかかるお金をカットして、TENGAegg無しでも売り上げ変わらないでしょうきっと。
たとえばトールケースにすれば、パッケージ代・輸送費の結構な削減になるでしょうし。
そうやってもっと儲けて、AILには酷いことするゲームを作り続けて欲しいなと改めて感じた一本でした。