淫打 感想

かっこいいから、というのは思春期の少年にとって何をするにしても大いなる動機になります。
そんなノリで高校時代に体得したのがブラインドタッチでした。
部活のブログやSNSで日記を書いたりする時、それはそれは役に立ちました。
腹立たしい事に今は無きあのブログは、当サイトよりもアクセス数が良かったのです。

そんな私のタイピング技術なのですが、進学して就職して、思っていた以上に使い道がないという悲劇に見舞われました。
書類にしてもメールにしても、長いのは文面考える時間であって、キーを叩いてる時間ってそんなでもないんですね。
人間たまには全力を出さないと、技術はどんどん錆びついていきます。
タイピングの場合、露骨にタイプミス率が上がって悲しいです。

前置きが長くなりましたが、そんな折に見つけたのが本作です。
毎度おなじみDLsiteの半額セールで500円の一品でございます。
ぶっちゃけ悪ノリ7割ですね。
話のネタにでもなれば儲けものかな、くらいの。
実際やってみて、まあUIがひどい。
小学生の頃に学校のパソコン室で遊んだソフトと同レベルの雰囲気じゃん! なんて思ったら本作、1999年リリースで、なるほどそりゃそうか、という。
ご褒美で解放できる会話イベントやエロシーン、チュートリアルにいたるまで、ことごとくテキスト送りがオート(低速固定)でストレスがマッハでした。
送り速度とマイナス比例でストレスフルです。
テキストの表示より私のタイピングの方が早いレベルと言えば、そのストレスの程がお分かりいただけるでしょうか?

一方で、想定外にタイピングソフトとしてよくできています。
まさか初心者モードが基本のホームポジションからご丁寧に教えてくれるとは。
どの指をどっちに動かせばいいのかモニターに画で表示してくれるので、ブラインドタッチ習得に一番大事な「キーボードを見ないで練習する」ことが比較的容易に実現可能になっています。
加えて、通常モード的な位置づけの日本語入力モードは、入力する例文がわりと普通。
ここはど下ネタぶち込むところなのでは?
タイトル『淫打』だぞこれ。
真面目か。

タイピングするとヒロインが腰振って喘ぐのがらしさといえばそうでしょうか。
で、タイプミスすると「もっと上~」とか「右~」とか言うんですよ、ハートマーク付いてそうなボイスで。
そうそう、こういうの。
バカバカしい程良いのです。

これでイベントがまともに見られれば、なんて思ったりしますが、よくよく考えると特に「面白え!」とかなったりするわけでもないので、これはこれでまあいいか。
ちなみに、インストールフォルダに格納されていているテキストフォルダを開くと、会話イベントやエロシーンで表示されるテキストが全部読めます。
この辺の報酬系がしっかり整備されたら、もっと遊べてスキルも身についてっていう素晴らしいツールになれたかもしれません。
惜しむらくは、タイピングスキルなんてのがそもそも一般業務で求められにくくなっている昨今、どれだけ需要があるかは未知数という点。
まあ、20年前のソフトですしねえ……。

ゲーム的には残念ですが、タイピングソフトとして見れば、下手なやつ買うよりよっぽどコスパの良さそうな一本でした。

2019.09.24